魔法少女リリカルなのはViVid〜時を越える願い〜

□〜目覚め〜
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〜教会内・グレイルの眠る部屋〜


「今日もお加減良さそうで安心したよ、グレイルパパ」


まずここに足を運んだヴィヴィオ達は、すやすやと眠り続けるグレイルの顔を見ながら話し掛けていた。


「ほらヴィヴィオ。この前知り合った新しいお友達のことも話さないと」


「ああ!そうでした!あのね、グレイルパパ。この前格闘技がすごく強い人とお友達になったんです。その人はアインハルトさんって言って、中等部の先輩なんですけど、私と同じ虹彩異色であの覇王イングヴァルト陛下の正統な子孫なんです!」


生き生きとした声でグレイルに話すヴィヴィオだったが、急ぎ足で話していたためになのはとフェイトに注意されてしまう。


「ヴィヴィオったら、慌てて話しすぎだよ。それじゃあ聞いてるグレイルパパが大変だね」


「えへへ、話すのが楽しくて」


言ってヴィヴィオはフェイトに可愛く舌を出してみせたあと、再びグレイルに顔を向ける。


「だから今度はアインハルトさんと一緒にお見舞いに来るから、楽しみにしててね」


その言葉を最後にヴィヴィオはグレイルから離れて部屋のドアへと歩きだし、


「それじゃあフェイトママ。イクスのお見舞いに行ってきますので、ゆっくりしててください」


「あっ、ヴィヴィオ。私も一緒に行くよ。フェイトちゃんはヴィヴィオの言うようにゆっくりしててね」


なのははヴィヴィオについていくことにして、フェイトにそれだけ言い残して部屋を出ていった。
フェイトはグレイルと二人きりになった状況で、今までのように優しく語り掛けていった。













「オットーとディードを発見。手筈どおりに頼んだぞ、メアリス」


「了解です、パパ」


セインへのいたずらを完了させた和人とメアリスは、礼拝堂の掃除をしていたオットーとディードを発見し、さっそく行動を開始した。


「オットーさん、ディードさん。ごきげんよう」


「ああ、メアリス。ごきげんよう」


「ごきげんよう」


メアリスは二人に笑顔で近付き、二人も特に警戒せずに普通に挨拶を返してきた。


「お掃除ですか。献身的ですね」


「教会にはお世話になっていますからね。このくらいは当然です」


「メアリスはお見舞いに来られたのですか?」


「う〜ん、今日はヴィヴィオのお見舞いについてきたってところです。私はお二人とは直接的に関わりがありませんから」


「そういえばメアリスはお二人とは一度も話をしたことが無いんでしたね」


「うん。だからお見舞いには来るけど、何を話せるわけでもないので、教会内をお散歩中だったんです」


その答えに二人は納得して笑顔を見せる。


「それでですね。お二人に頼みたいことがあるんですが、よろしいでしょうか?」


そこで改まって言うメアリスに断る理由もなかった二人は、顔を見合わせたあとにそれに了承した。


「あのですね、ブリーズの応対が正常かどうかを調べたいんです。パパが言うにはまだサイクロンほどに言語が豊富じゃないんだそうです」


『よろしくお願いします』


メアリスが二人にそう説明すると、左手首に付けられたブリーズも言葉を発した。


「そんなことなら喜んでやるよ」


「何でも話してみてください」


二人のその言葉を聞いたメアリスは、右手を後ろに回して礼拝堂の入り口に隠れていた和人にグーサインを出した。


「よし、そんじゃあ手筈どおり頼むぞ、サイクロン」


『任せてください』


和人はメアリスのサインを確認してから、サイクロンに言葉をかけて行動を開始した。


「じゃあ、さっそく頼むね、ブリーズ」


『はい。それではお二人に尋ねます。現在の生活に満足していますか?』


「いきなり現実的な質問だね。ボクは今の生活には満足してるよ」


「私も時々姉様達が来てくれますし、皆さん優しい方なので満足しています」


『ちっ』


何やらブリーズから舌打ちみたいなのが聞こえた気がした二人だったが、気のせいだろうと思い話を続ける。


『それでは今現在意中の男性はいらっしゃいますか?』


「なっ!?何でそんなことを……」


『いえ、単純に興味があるだけです』


慌てるオットーに至って冷静に返すブリーズ。
その様子を必死に笑いを堪えていたメアリスは、チラッと礼拝堂の入り口にいる和人と目を合わせてみると、和人はメアリスにグーサインを出していた。


「意識している人はいないかな。しいて上げるならグレイルさんですけど、好きとかではないな」


「私は……テイルさんが気になっていたり……」


「ディードさん。くれぐれもルエナさんやウェンディさんには黙っておいてくださいね。命の保障がありませんから」


『泥沼の恋というのもよろしいかと』


「ブリーズ。冗談抜きで洒落にならないから!」


そんな会話をしている外では、和人がブリーズと繋がっているサイクロン経由で話を盗み聞きしていた。


「まさかこんな質問にまともに答えるとは思わなかった。何でもやってみるもんだな」


『そうですね』


実はブリーズの質問は二つとも和人の案で、指示を出していたのだ。それで予想以上の成果に笑みがこぼれた和人。


「和人さん。ここで何をしているんですか?」


「何って、オットーとディードにいたずらを……」


そこで和人は話し掛けてきた人物の顔を確認して、言葉が止まってしまう。


「セインだけに飽き足らず、オットーとディードにまでいたずらとは、困った方ですね」


「あはは……シャッハさん。顔は笑ってますけど、怒ってます?」


「ええ、ちょっと懲らしめようかと考えていますよ?」


それを聞いた和人は即座に逃走。それを見たシャッハはヴィンデルシャフトを起動して和人を追い掛け始めた。
そんなこともつゆ知らず、いつの間にかガールズトークに花が咲いてしまったメアリス達は、真剣な話をしていた。



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