魔法少女リリカルなのはViVid〜時を越える願い〜
□〜遊びと訓練〜
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「んじゃ、せっかくだから面白いもん見せてやろう。ヴィヴィオ、メアリス、リオ、コロナ!」
場所は戻って川遊びをしていたヴィヴィオ達は、ノーヴェに呼ばれて一斉にそちらを向く。
「ちょっと『水斬り』やってみせてくれよ!」
「「「「はぁーいっ!」」」」
ノーヴェのその言葉にすぐ返事を返した四人は、横一列に並んで川の中で構えた。
「水斬り……?」
アインハルトはそれに疑問を持ち、ノーヴェに尋ねる。
「ちょっとしたお遊びさ。おまけで打撃のチェックもできるんだけどな」
ノーヴェの説明のあと、最初にコロナが右正拳を打ち抜く。すると少し遅れて水面がシャパァッ!といった音を立てて二つに割れた。
次にリオが振り抜くと、水面はシュザァァ!とコロナより鋭く割れた。
「いきますっ!」
次にヴィヴィオが振り抜くと、水面はリオ以上に割れ、ズシャァァッ!と音を立てた。
「失礼します」
最後にメアリスが振り抜くが、その正拳はとても静かで、それでいてヴィヴィオ達より鋭かった。その正拳に少し遅れて水面が割れるが、その音はスパッ!とでもいうように綺麗に割れ、川の底まで見えるまでの鮮やかな真っ二つぶりだった。
「やっぱりメアリスちゃんはすごいよね!純粋な格闘技なら私たちの中で一番だし」
「格闘技ならね。魔法戦技になればヴィヴィオやリオの方が強いよ。私、魔法は平均レベルだし」
「それでもうらやましいよぉ。私も強くなりたい!」
「そうだよ。それにメアリスは和人さんから直接指導を受けてるんだし、少しくらい勝てる部分がないと本気でへこんじゃうかも」
水斬りを終えてそんな話をする四人。
「アインハルトも格闘技強いんでしょ?試しにやってみる?」
それを見ていたルーテシアがアインハルトにそう尋ねると、アインハルトもやる気になって川の中へと入っていった。
(水中じゃ、大きな踏み込みは使えない。抵抗の少ない回転の力で、できるだけ柔らかく……)
そんなことを考えながらアインハルトはゆっくり右腕を振りかぶり、一気に振り抜く。が、ヴィヴィオ達のように二つに割れずに水しぶきだけがドッパァァ!!と上がってしまった。
「あはは……!すごい、天然シャワー!」
「水柱5メートルくらい上がりましたよ!」
アインハルトの打ち上げた水しぶきを受けながらヴィヴィオ達は気持ちよさそうにしていたが、当のアインハルトは予想とは違った結果に戸惑っていた。
「おまえのはちょいと初速が速すぎるんだな」
そんなアインハルトにノーヴェは近付きながらお手本を見せようとする。
「初めはゆるっと脱力して途中はゆっくり……インパクトに向けて鋭く加速」
言いながらまずはゆっくりやってみせるノーヴェ。
「これを素早くパワー入れてやると……」
次に実際にパワーを入れて蹴りを放つと、水面はシュパァッ!と綺麗に真っ二つに割れた。
「……こうなる」
ノーヴェの手本を見たアインハルトは、レクチャーを思い出しながらもう一度やろうとする。
(……構えは脱力。途中はゆっくり、インパクトの瞬間にだけ……撃ち抜く!)
復習しながら拳を撃ち抜くと、水面はズバシュ!と先程より水斬りらしくなったが、まだ二つに割れるような綺麗な水斬りにはなっていなかった。
それでもヴィヴィオ達はその進歩に素直に驚いていた。
「おっ?水斬りやってたのか」
「元気ねぇ。子供はそうでなくちゃ可愛くないわ」
そこへ丁度トレーニングという名の死合を終えた和人とルエナがやってきた。
「あれ?お二人ともトレーニングは?」
「ああ……邪魔だからってなのは達に追い出された」
「それも全部和人が悪いんだけどね」
「妨害有りに賛成したルエナも同罪だろ」
「あなたがさっさと負けていればあんなことにはならなかったのよ!」
それで言い争いを始めてしまった二人。そんな二人にメアリスは近付き、
「二人とも喧嘩はダメだと思います。仲良くしてください」
その言葉で二人は互いに手を取り合って笑顔を見せて、
「喧嘩なんてしてないさ。ルエナとはいつも仲良しだ。なっ?ルエナ」
「そうよ。私達が喧嘩なんてするわけないじゃない!メアは心配性ね」
二人は笑いながらメアリスにそう言うと、メアリスは満足そうに笑顔を見せた。
その笑顔に顔が緩みきる二人。その様子を見ていた一同は、メアリスの凄さに驚かされていた。
「それで?アインハルトに水斬りを教えてたのか」
とりあえず話を戻した和人は、メアリスに今の状況を聞き出していた。
「パパの水斬りが見たいな。アインハルトさんもきっと驚くだろうし!」
「娘の要望には応えないとな。いっちょやりますか」
和人は言った後川へと入り、ヴィヴィオ達を川から上げてゆっくり構えた。
そして鋭い右足の蹴りを放つ和人。それに少し遅れて水面がスパッ!と真っ二つに割れて……というより、流れる川を寸断してしまった。
「……凄い」
それを見たアインハルトは改めて和人の凄さを認識しつつ、感想を述べる。
もちろんメアリス達もそれには凄く喜んでいた。
だがそれを良く思わないルエナは、和人と入れ替わる形で川に足を運び、
「和人ばかりにいい思いはさせないわ」
変な対抗心を燃やして水斬りをするため構えた。
ルエナは右正拳を放つ。すると、水面はシュパァッ!と真っ二つに割れ、和人とほぼ同じくらいの結果を生んだ。
「どうかしら?私も凄いでしょ?」
ルエナは言いながらヴィヴィオ達に近付き両手を広げて招き入れ、ヴィヴィオ達を抱き締めた。
それを見た和人はルエナに対抗心を燃やしてまた水斬りをやってみせると、ルエナも負けじと躍起になる。
そんな二人に苦笑しつつも、アインハルトとヴィヴィオも水斬りを練習し始めて、ノーヴェ達はそれを笑いながら見ていた。
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