ミジカイユメT

□林檎の壁
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「なんで俺がそんなことしなきゃなんねぇんだ!!!!
ぶざけんな!!!!」






ブランシュネージュは自ら毒リンゴを育んでいた







「何で俺が女のご機嫌取りなんかしなきゃなんねぇんだ!!!!」



「もう神田君しかいないんだ‥‥
頼むよ‥‥
このprettyチャーミングなリナリーも
純腹黒英国紳士のアレン君も
自称、微笑の貴公子、ラビも
もちろん僕も
皆駄目だったんだ。
誰が話しかけても何も答えてくれないし、反応すらしてくれないんだ。」



コムイは心底困ったように苦笑いを浮かべた。
少し外野が“腹黒”とか“自称”とかいう言葉に過剰反応しているが、ここはあえてスルー。
コムイは
「外見で判断するのもあれだけど、顔立ちは東洋人だよ。」
などとほざいて、神田を別の部屋に押し込んだ。
その部屋の中には少女が1人いた。
いきなり部屋に入ってきた神田に見向きもせず、窓から外を見つめている。
流れる様に美しい漆黒の長い黒髪、雪の様に白い肌、纏う神秘的なオーラ。
思わず吸い込まれそうになる。
神田は茫然としていたが、何かしなければ此所からは出られないと悟った。



「おい、お前。」



神田は何となく呼び掛けてみた。
すると少女はゆっくりと冷たい眼を神田に向けた。
deepblueの双眸は鋭く神田を貫いた。

惹かれずにはいられない

そして、大きく溜息をついた。
神田の眉間に深い皺がよった。



『嫌んなるわ。
今までで一番最悪。』



と言って、再び大きな溜息をついた。
神田の耳に入ってきたその言語は、ひどく懐かしいもので郷愁感が湧いて出た。
だが神田は、少女が言った言葉を思いだした。
眉間の皺は溝へと変貌じ、こめかみには幾つもの青筋が出現した。



『テメェ、調子乗ってんじゃねぇぞ!!』



神田にしてはよく我慢したものだ。
少女は大きな双眸をさらに大きく見開いた。



『日本語が御上手ね。』















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