ミジカイユメT
□荊の約束
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「誰か私を迎えに来て‥‥‥」
プランサスロンスは自ら荊を巻き付けた
「何が
“今回の任務は、イノセンスの適合者の連行だよ!!簡単だから頑張ってね☆”
だ!!ふざけんな――!!」
神田はヒステリックになっていた。
その理由は、1時間前から絶えず襲いかかってくる“荊”。
掠めてもAKUMAのウィルスに身体が反応しないから、AKUMAの攻撃ではないのは確かだ。
ということは、イノセンスの仕業しかない。
イノセンスがこの荊を操っているとしか考えられない。
「ったく!!!!
(適合者は)何考えてやがんだ!!!!」
ついに神田はキレ、イノセンスで城内への入口までの荊を薙払ってしまった。
神田は再び荊が現れるまでに、一気に城内の入口までの道を駆け抜けた。
そして、扉に手をかけた。
《入って来ないで!!》
「Σ!!??
どこから‥‥‥」
神田は“声”を気にしながらも扉を開けた。
《ほぉっておいて!!
入って来ないでよ!!》
城内に響く悲痛な叫び。
同時に、再び襲いかかってくる荊。
「俺は敵じゃねぇ!!
お前を迎えに来たんだ!!」
神田は六幻で荊を斬りながらどんどん中に進んで行く。
《皆、そう言ったけど、誰も私のもとにたどり着いた人なんていないわ!!
皆諦めて逃げて行った!!》
響く悲痛な叫び声は、震えていて、か細くて、荊のように棘がある。
そんな声。
「チッ!!」
神田は階段を登り始めた。
《誰も、本当に私を必要としてくれない!!》
神田は六幻を振り回しながら階段を駈け登る。
今までにないくらい真剣な顔付きで何か考えるように。
《所詮、人間なんて口先だけの卑しい生き物なのよ!!》
「言いたいこと言いやがって。」
神田は肩が震えた。
それは当然‥‥
「テメェもその人間の部類に入る生き物だろうが!!!」
怒りから来るものだった。
*