ミジカイユメT

□酢漿草
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「お前はついて来るな!!」



神田は走りながら私を怒鳴りつける

でも、その程度で怯む私でもない



「いや!!」



神田は振り返って私を睨む

ここで睨まれたって、殴られたって、引かない
だって、あなたに一生怒鳴ってもらえない方が嫌だから

するとあなたは、走るのをやめて、私に向き直った



「頼むから戻ってくれ」



そして抱き締めた



「何と言われようと、いや」



私は抱き締め返した



「必ず帰ってくる」



「嘘。箱舟でもそう言って、帰ってこなかった。約束も守ってくれなかった」



神田は何も言えなくなった

私の瞳から涙が零れた
情けない

向うで爆発音がする
きったレベル4のアクマとアレンが必死に戦ってるんだ



「それに、私だってエクソシストよ。戦うことは私達の仕事よ」



最早神田は返せる言葉がない

あなたに戦うな、なんて言わないから、私を側にいさせて
あなたを守らせて



「そうだな…。約束、したな」



生涯を共に歩もうと…



「勝手に1人でなんて死なせてやんない。そんなカッコいいことさせない。
死ぬ時は一緒よ。自己満足も自己犠牲もなし。勝手に死んだりするなら、死ぬ前に私が殺してやるんたから」



あぁ、涙であなたの顔がよく見えない



「俺を殺せるもんなら、殺してみろ」



神田は薄く笑った



「やってやろうじゃない」



私は涙を流しながら言った

神田は私をきつく抱き締めた
そして、そっと私の額にキスした



「じゃぁ、行くか」



神田は私の涙を拭って言った



「ええ」



もう片時も離れたくないの

もう片時も放したくないんだ



2人は走り出す

イノセンスを左手に、あなたを右手に

お前を左手に、六幻を右手に

携えて










これは何処にでも咲いている雑草のような恋愛

道端に咲いているような小さな花のような恋愛

ありきたりで、なんの捻りもない

でも、強い、強い、絆の恋物語

道端で、踏まれながらもしっかりと根を生やす雑草のように強い絆

たった1人で咲き誇る、一輪の花のような強い想い





酢漿草(カタバミ)

(それは)
(生涯を共にするという)
(強い絆と想いのカタチ)





しっかりと根を生やすように強く
地を這う茎のようにしたたかで

そして小さく咲き誇る

私達の花















酢漿草(カタバミ)花言葉は生涯を共にする



2008:4/10

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