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□不思議な魔法
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「名無しって可愛いな。」
私の彼氏の土門飛鳥君は表現がストレートだ。
アメリカに留学していたからか臆面もなくそんなことをよく言う。
「どこが?」
土門君に失礼かもしれないが私は自分の何処にそう言われる要素があるのか分からない。
身長は高めだし体型は少しぽっちゃり気味、顔立ちだって十人並み。
普通、としか評価のしようがない。
「全部。顔も性格も少し天然なとこも全部可愛いよ。」
ふわり、土門君が優しく微笑んだ。
年齢にしては少し大人びた笑みに私の心臓は高鳴る。
「…土門君カッコ良すぎ。」
「マジで?」
「うん。私の彼氏は世界一カッコいいよ。」
世界で一番大好きで、世界で一番カッコいいアナタに可愛いと言われるあたしは世界一幸せな女の子。
どんな御伽噺のお姫様にだって負けない。
「名無し、可愛い。」
アナタの可愛いは不思議な魔法
アナタに可愛いと言われたぶんだけ可愛くなれる気がするの
「ねぇ、もう一回言って。」
世界で唯一アナタだけが使える魔法で私をもっと可愛くさせてね
end