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□ベタな展開
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『さむっ』

「こんなもんだろ」


上を見上げれば灰色の空

冷たく刺さる冬の風


『政宗は寒くないの?』

「No problem!!」

『羨ましい……何か腹立つ』

「Ha!!そうかよ!!
っておい名無し、上見てみろよ」

『何……、げ』


素晴らしいタイミングだな

白くて冷たい綿毛が降ってくる

ええ、迷惑以外の何者でもないね


「お前、もう少しCuteな声は出せねぇのか?」

『驚いたもんで、つい』

「……雪見たらはしゃぐと思っていたんだが、意外だな」

『私はそんなに子供か』


静電気で髪の毛が傷むわ、ひび割れが痛いわで大変だし

何よりも寒いのが嫌だ


「……ん」


突然手を差し出してきた政宗


『え、何』

「手繋ごうぜ」

『意味わからん』

「寒いの嫌なんだろ?」

『だからって、このベタな展開は何か嫌だ』

「Shut up!!我儘ばかり言うんじゃねぇよ!!俺がわざわざ気を遣ってやってんだろうが!!」

『上から目線やめてくれる!?』

「もう知らねぇ!!俺の好きなようにやるからな!!」

『痛たたたたたっ!?力強すぎっ』



冷たい雪が静かに

ぎこちなく繋がれた手へ堕ち

やわらかく溶けた



口から出る

反抗的な言葉とは裏腹に

火照る顔と手は温度を増す



こんなこと



君の隣りにいる時だけで






end
 

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