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□壁一枚向こう
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貴方といるといつも壁を感じるの

薄くて透明な硝子のような壁


姿も声もわかるのに触れることだけはできない



















「佐助。」


「どうしたの名無しちゃん?」



貴方の腕を掴んで顔を近付けた。


私と貴方の物理的距離は一寸。



貴方の目に私が映る。

だけど瞳には映ってない。


きっとどんなに近付いたって貴方の瞳に私が映ることはないだろう。










それでもどうしても貴方の瞳に映りたくて

貴方の心に触れたくて








「私…、佐助のことが…」


「駄目だよ、名無しちゃん。」




貴方の指が私の唇を止めた。

触れた指がとても冷たかった。


まるで触れていないかと思うほど感覚がない。









「ごめんね…、俺様忍だから。」



そうやって貴方は好きだとすら言わせてくれない。


きっと貴方は忍じゃなくても同じことを言うんでしょう?





















「やっぱり貴方は狡いわ。」






貴方との距離は壁一枚向こう

好きすら届かない



end
 

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