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□太陽が昇る朝
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コレの続き










眩しい朝日が部屋に広がる。

小鳥のさえずりで目を覚ました。



目の前には貴方の寝顔。

日の本の太陽はまだ昇っていないらしい。


身を起こし貴方の艶やかな黒髪を撫でた。

柔らかな髪の毛は私の指をすり抜けていく。



まだ貴方の意識は覚醒しない。





緩やかな朝のひととき。

少し前までは考えられなかったこと。


暗くて長い戦乱の世に貴方が光を差した。

日の本に沈むことのない太陽が昇ったのだ。



苦しんで 色々なモノを犠牲にして

貴方は天下太平を成した。
















「んっ……、」



何度か瞼を瞬かせ貴方は目を覚ます。

やわらかな瞳が私を捉えて微笑んだ。


戦の時の猛々しさと信念を持った瞳は今は影を落とし、代わりに優しさが貴方を包む。




「おはよう、名無し。」

「おはようごさいます。」



当たり前の朝の挨拶が交わせることが嬉しくて堪らない。






襖を開け放ち外の空気を吸い込んだ。

高く、遠く、青空は広がり雲を散らす。


「今日もいい天気だな。」

「えぇ、気持ちがいいですね。」


二人で縁側に立ち朝日を浴びた。

暖かな日差しが二人を包む。



「そうだ、せっかくだし散歩でもするか。」

「いいですね。久しぶりに川辺なんてどうですか?」

「いいな、弁当でも持って行くか。」



あぁ、なんて幸せなんだろう。

私達は全ての幸せが当たり前にないことを知っているから。


この時間が愛おしくて、大切で、何よりも価値が有るものだと思う。






私は太陽に手を伸ばした。

指の隙間から煌々と光が漏れた。


「名無し、どうした?」

「幸せだな、って…。」

「そうだな。ずっとこんな日々が続くように、ワシは今まで以上に頑張らないといけないな。」


次は隣の太陽に手を伸ばして、触れた。

指と指が絡まり合う。



「いいえ、家康様。“私達”ですよ。」

「そうだったな。これからもよろしくな、名無し。」

「はい。」







泣きたくなるくらい幸せな朝

太陽が昇った




end
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これで太陽シリーズはおしまいです

今考えると夢主の口調が定まってないような…


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