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□if U were !!
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「ただいま、」
って言っても一人暮らしだから誰からの返事もないけど、言わないと余計に寂しく感じる。
仕事が終わって疲れた体を動かして、軽く服を着替えてリビングに入る。
その時、
「おかえり〜」
……え!?ち、痴漢?
しにては声のトーンは落ち着いてるし…
ていうか声小さい!!
「あの、誰か…いるんですか?」
キョロキョロしながらそう言うとソファーの近くから
「名無しさん〜、寂しかったぁ」
「え?え?だれっ!出てきなさいよっ!」
ビビりまくりながら、声の主に問い掛ける。
「だって名無しさんがここから出ちゃダメだよ、って…」
「ここから、って…」
「うっそ!ゆちょん、喋れるの!?」
ゆちょんっていうのは、真っ白なウサギちゃん。
一人暮らししはじめて、寂しいからペットとして家に来た。
「名無しさん、よく歌ってるでしょ?ボクも自由に話せたらなぁ〜って思ってたら、話せるようになってたの!」
「やだ、私の鼻歌とか聞いてたの?」
「うん、名無しさんのことなら何でも知ってる〜」
「恥ずかし…ってか喋るゆちょんってもっと可愛い!」
そう言って私はゆちょんをゲージから出して、抱き締めた。
「名無しさん〜、いいにおい〜」
「萌える〜〜〜!!」
「名無しさんがいつもこうだったらいいのに…」
「…へ?」
「名無しさんが一人暮らし始めたころは、毎日ボクに話しかけてくれてたけど…最近はずっとひとりぼっちだったから…」
「ゆちょん…私っ、ごめんなさい…っ、」
「名無しさん、泣かないで?ボク、名無しさんが頑張ってるの知ってるから。」
「うぅ〜、ゆちょん〜」
「んふふ、くすぐったい〜」
「ゆちょん、今日からは一緒に寝ようか?」
「え、いいの…?ボク臭くない…?」
「あは、ゆちょんそんな事気になるの?だいじょーぶだよっ!」
「名無しさん、大好きい〜」
「おやすみ、ゆちょん」
「おやすみなさい」
「ゆちょん、もう寂しくない?」
「名無しさんも寂しくない?」
「おかげさまでっ」
「「んふふ、おやすみ」」
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