Maria†Holic
□とある内緒の夜の話
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寮室 ベッドの上にて
*
「〜〜〜〜!!!きょ、今日こそは負けないんだからっ!!」
「…っ!しつこいなお前も…!黙って俺様の言いなりに…なっりやがれっ!!」
かなこと鞠也が狭いスペースで互いに両手をしっかり絡め、取っ組み合いをしているようだ。
「何よ…!いっつも私ばっかりじゃない!」
「しょうがねぇだろ。お前がこの俺様を弄ぶなんて 100年早ぇんだよ!」
―バンッ
鞠也がベッドにかなこの腕を押し付けた。このちょっとした格闘は終わり、二人とも息を荒げながら見つめ合っていた。完全にかなこの体力負けだった。
そういえば宮前さん、蕁麻疹は…
鞠也が上で、かなこが下。これはもう二人にはお決まりのルールになっていた。
「くぅぅぅぅ…!!」
「大丈夫だって…優しくしてやるから…な?」
覗き込んでいる鞠也の優しく微笑みにかなこの心はちょっと緩んだ。
昼間、表の顔は優等生美少女だが、かなこに対しては「ドS」な悪魔でしかない彼も、
夜、二人きりになると優しくしてくれる。
かなこはこの昼と夜のギャップにも惹かれていた。
(でも…っ!でもでも!今日はまだ諦めないんだから!今日こそは!鞠也を受け身にしてあげちゃうんだからっ!)
押し倒されはしたが、幸いなことに腕自体は固定されていなかったので、かなこはとっさに上体を起こすのと同時に勢いのまま鞠也に抱き着いた。
「!」
本来ならこのまま押し倒すつもりだったのだが、鞠也にすんなり受け止められ、また身動きができなくなってしまった。
「いきなりなんだ?あっ、やっと俺様に体を預ける気になったのか?」
ニヤリと笑う鞠也。
「ち、違うわよ!だから今日は私が鞠也を…っん…くぅ」
言いかけたかなこの唇にそっとキスした。
そのままかなこを再度押し倒し今度は手首をがっちり固定した。
「…もう、逃がさねえ。」
鞠也は心底嬉しそうに黒い笑みを浮かべた。
「結局こうなるんじゃない!」
「なんなんだお前。いつもの・・・俺のがそんなに嫌か?」
鞠也はかなこの首筋をなぞる様に舐め始めた。
「はぅ…///ぁ、く、くすぐったいぃぃ…」
「毎回毎回そんなやらしい顔しといて、気持ち良くねぇとか絶対言わせねえ。」
鞠也は鎖骨周りや肩にキスマークを付け始めた。窓に差し込む月明かりが、ほんのりピンク色になった鞠也の顔を映し出す。
吸われたところがチクッと痛む。
「あ・・・ぅ」
顔を歪めて、体が未だ慣れない恥ずかしい行為を、ごく普通にこなす鞠也にひたすら耐える。
「お前の体も、お前自身も、俺のモンだ。・・・かなこ」
この先にあるだろう、禁断の領域に一歩ずつ近づく。かなこは鞠也の頭を包むように抱き、耳元でそっと呟いた。
「まりや、大・・・すき・・・」
「わかってる。充分知ってるから・・・」
二人仲良く甘い感情に溺れてゆく。
今日もまた、待ち受けるのは快楽、淫乱。
長い夜の始まりだった。
end
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