Maria†Holic

□プラネタリウム
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「おいかなこ、出かけるぞ。」

唐突にそう言われて、私が連れて来られたのは祇堂家のお屋敷だった。

「連れて来たかったのって…ここ!?」      
どこに行くのかと少し期待していたが、ここは予想外だった。そもそも鞠也の家に私を連れて来る意味がないと思うんだけど…
色々疑問はあったが、まあ静珠さんに会えるからいいやと開き直る。
     
「いらっしゃいお兄さま、かなちゃん」

鞠也が玄関を開けると静珠さんが笑顔で迎えてくれた。格好は男の子だけど声も言葉遣いも今日は女の子らしい。         

「悪い、待たせたな。」

「ううん、大丈夫。準備はちゃんと出来てるよ。ひとまずはあがって、兄さまは奥で待っててよ。あっ!かなちゃんはこっちに」         
ニコッと私に笑いかける。
あぁ…可愛いなぁもう…。
          
しばらくすると私は静珠さんの部屋へと案内された。

「ねえ、静珠さん?」

「ん?どうしたの?かなちゃん」

「私、どうして鞠也にここへ連れて来られたんだろう…これから何が始まるの?」

私の問い掛けに静かに微笑み
「今にわかるよ」と言った。

「じゃあこれに着替えてくれるかな。」  

静珠さんの部屋に着くなり白い布を渡された。広げてみると布ではなく、清楚という言葉を思い浮かばせる純白なワンピースだった。           

―数分後

「わぁ…かなちゃん…可愛い…とっても似合ってるよ!」

静珠さんはおずおずとフィッティングルームから出てきた私を見て言った。
首周りや肩が露出されていて少し恥ずかしい。           

「そうかな…絶対私より静珠さんの方が似合うよ!それにこの格好だったら鞠也に笑い飛ばされちゃうよ…」

私のそんな稀な発言に静珠さんは可笑しそうに笑う。

「そんなことないよ。それに、飛ぶのはかなちゃんじゃなくて鞠也の方かもよ?」

「え?それってどういう…」

「さあ、みんな待ってるだろうから行こうか…かなちゃん。」

私の疑問はサラリと流された。
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