Maria†Holic
□プラネタリウム
1ページ/7ページ
*
「おいかなこ、出かけるぞ。」
唐突にそう言われて、私が連れて来られたのは祇堂家のお屋敷だった。
「連れて来たかったのって…ここ!?」
どこに行くのかと少し期待していたが、ここは予想外だった。そもそも鞠也の家に私を連れて来る意味がないと思うんだけど…
色々疑問はあったが、まあ静珠さんに会えるからいいやと開き直る。
「いらっしゃいお兄さま、かなちゃん」
鞠也が玄関を開けると静珠さんが笑顔で迎えてくれた。格好は男の子だけど声も言葉遣いも今日は女の子らしい。
「悪い、待たせたな。」
「ううん、大丈夫。準備はちゃんと出来てるよ。ひとまずはあがって、兄さまは奥で待っててよ。あっ!かなちゃんはこっちに」
ニコッと私に笑いかける。
あぁ…可愛いなぁもう…。
しばらくすると私は静珠さんの部屋へと案内された。
「ねえ、静珠さん?」
「ん?どうしたの?かなちゃん」
「私、どうして鞠也にここへ連れて来られたんだろう…これから何が始まるの?」
私の問い掛けに静かに微笑み
「今にわかるよ」と言った。
「じゃあこれに着替えてくれるかな。」
静珠さんの部屋に着くなり白い布を渡された。広げてみると布ではなく、清楚という言葉を思い浮かばせる純白なワンピースだった。
―数分後
「わぁ…かなちゃん…可愛い…とっても似合ってるよ!」
静珠さんはおずおずとフィッティングルームから出てきた私を見て言った。
首周りや肩が露出されていて少し恥ずかしい。
「そうかな…絶対私より静珠さんの方が似合うよ!それにこの格好だったら鞠也に笑い飛ばされちゃうよ…」
私のそんな稀な発言に静珠さんは可笑しそうに笑う。
「そんなことないよ。それに、飛ぶのはかなちゃんじゃなくて鞠也の方かもよ?」
「え?それってどういう…」
「さあ、みんな待ってるだろうから行こうか…かなちゃん。」
私の疑問はサラリと流された。