Maria†Holic

□匂いフェチ
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何か…ある。
寮室に帰宅した私の目に入ったのは自分のベッド、に置いてある“コレ”。
少なくとも朝、私が部屋を出る前はなかったはずだから、私も鞠也も学校に行っていて、この部屋には誰もいない間に出現したってわけだ。

コレが一体何なのか、私は知っている。
だからこそどうしても近づく気になれない。触りでもしたら絶対私の負け。でもソレから発せられるいい香に、つい私は誘惑されてしまう。
            
しばらく躊躇っていたが、無駄な好奇心に背中を押されついにソレに手を伸ばした。

柔らかい手触り。
さらに度を増す甘い香。
私は少しずつソレに顔を近づけた。心臓は緊張でドクドクと激しく脈を打つ。

そして距離は0に。   
この香が男物から発せられるなんて考えられるだろうか、あの性倒錯者から。

いつもは気に留めたりなどしない、見た目は美少女のアイツのことをあれこれ考えてしまう。

私に罵声を浴びせる鞠也。私を弄んで腹黒く笑う鞠也。ちょっと馬鹿にしただけでマジギレする鞠也の顔。ふと一瞬だけ見せた、優しく微笑む顔の鞠也。過去に見た鞠也の顔がフラッシュバックのように蘇る。            
―頭が…鞠也に、侵されていく…。

コレが鞠也のものだと思うと、ドクンと沈むように一回一回の動悸が重くなって胸が苦しくなる。

そして完全に脳を鞠也に支配されてしまったが次の瞬間、私は一気に現実に引き戻されることになる。             

「なっ?!てめぇ何してやがる!!」

その突然の怒鳴り声に体が大きく跳ねた。  
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!鞠也っ!?帰って来てたの!?」

「それは…お前の持っているものは…一体何だぁ゛?」           

私の手には、ベッドに置いてあったアレ。
            
鞠也の・・・ネグリジェが。             
そして目の前には私の行為を目撃していた、手元にあるネグリジェの持ち主ご本人さま。

「いっ、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
            
私の体からはすぅーっと血の気が引いていった。
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