Maria†Holic

□短編集
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*天の妃の休日

「鞠也ー!」

私は寮の自室に着いてすぐ、「ただいま」も言わずに鞠也の名を呼んだ。
今日学校でサチさんから貰った、(´・ω・`)←こんな顔したキーホルダーが、
あまりにもツボにはまったので、鞠也にも見せようと思ったのだ。

「これ見てー!あのね、今日…」

靴を脱ぎ、鞠也に歩み寄りながらキーホルダーについて話す。
鞠也は迷惑だとでも言うような顔をしているが、その割に私の話に興味を示しているようだ。

「サチさんがくれたの!元はと言えば、食いついたの私なんだけど…」



―ツキッ



突然、右足を出した途端にその足に痛みが走った。
しかしいきなりのことだったので考える間もなく、左足を出し、もう一度右足を出した。


「とっっても可愛いで…いぎゃぁ!」


床に右足を着いた途端、足に激痛が走った。
捻ったのか攣ったのかわからないが私は体制を崩し、重さを支え切れなくなった体は真っ正面へと倒れていく。
目の前には驚く鞠也の顔。



―ドサッ







「う、ぅ…。」

どうやら床には倒れずに済んだ。
ベッドが受け止めてくれたのだ。
しかし…。


「ま、鞠也…っ」


あろうことか鞠也を巻き添いにし、しかも彼の体の上に重なるように倒れていた。

体が密着しているせいか、鞠也の体温と鼓動が私の体に伝わってくる。
そして体はじわじわと痒みに包まれる。


「…………………チッ」


「ご、ごめんっ!」


慌てて謝り、退こうとするが、


「ぁ…っ」


足が痛くて力が入らないためベッドから降りることができない。


「…早くどいてくんねぇ?」


鞠也が低い声で囁く。声のトーンからしてどうやら相当お怒りのようだ。

急いで鞠也の隣に転がるように体を移した。
上半身を起こして恐る恐る鞠也を見てみると、彼は自分の顔を腕で隠して仰向けになっていた。ハッキリとは見えないが、顔が少しだけ赤い。


「…鞠也?」


呼んでも返事はない。

(もしかして熱でもあったかな?だったら今のヤバいんじゃ…だって潰しちゃったし!)

そう思って、躊躇いはあったが鞠也の首にそっと触れてみた。
ピクッと鞠也の体がほんのわずかに反応したがそれでもまだ動きはしない。

でもどうやら熱はないみたいだ。ならどうして鞠也は動かないのだろう。

(まぁ、いいか)

多分怒っているのだろう。ここはあまり手を出さないほうが正解だ。

「いったぁ…」

私は右足を引きずりながら、寮長先生の所に手当をしてもらおうと部屋を後にした。

(あとで鞠也に謝らないと・・・)
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