novel

□sweeToxic
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そして、めくるめくやってきた休日、3人でmasatoの行ってみたかったカフェに行く。
「ねぇねぇ、2人は2人きりでデートとかしないの?いつも俺誘ってもらってるけど・・・。」
「大丈夫!だって毎日一緒にいるし・・・。」
見つめ合い、若い恋人達はぽっと頬を染めた。
masatoとyujiは、大学卒業をし、2人共就職してから同棲を始めているのだ。
それは、数年前の話だが、今でも未だ初々しさが抜けていない。
「・・・何コレ。のろけられるの?」
「うんん。そういうのじゃないけど〜。」
紅い顔の彼は、少しはにかんでみせる。
しかし、すぐに表情を変えた。
「ねぇ、あの人カッコよくない!?」
カフェテラスだから、見晴らしがよく、道の様子がよくうかがえる。
masatonが指した方向を見たshinpeiは、2人が気付かないうちに行動を停止した。
「yuji、そう思わない?」
「俺? さぁ・・・。」
「Chiyu君だ!」
ついガタンッと立ち上がったshinpeiを、2人が見上げる。
「あ・・・、ぺーさん!」
彼も気が付いたようで、こちらに歩み寄ってきた。
「どうしたの? お買物?」
「うん・・・まぁそんなとこや。ぺーさんは?」
「えっと・・・、友達と来てて。」
「そうなんや・・・!」
それから、お互いに何もしゃべらなくなって、気まずくなってしまう。
「じゃあ・・・。」
と行ってしまおうとするChiyuを、masatoが引き留めた。
「僕、shinpei君のいとこの、masatoっていいます。こっちはyujiです。よかったら、ご一緒しません?」
と、shinpeiの隣りを手で指す。
「あぁ・・・じゃあ、お言葉に甘えて。」
(えぇ!?)
慌てて手荷物を手に持ち、自分が座る椅子の背もたれに置いて、席を空けた。
彼は断るだろうと推測していたからだ。
(どうしよ・・・、こんな間近で・・・。)
つい見とれていると、彼がこちらを向いて、視線が合う。
「ん?」
「あ・・・、いや・・・っ!」
私服がかっこいいとか、普段は透明なものをつけているのか、目立つピアスとか、ラフな髪形とか・・・。
(どうしよう、すっごくカッコいい・・・。)
無論、容姿だけで彼に恋したのではないが、そこも好きな要素の一つだと思う。
首を横に振ったが、目が離せなくなっていた。
しかし、優しい彼は困っているようだが、微笑を返してくれる。
「すんません、ちょっと・・・。」
彼は席を立って、トイレに行ってしまう。
「・・・俺も。」
その後をyujiがついて行った。
「ねぇ!Chiyu君のこと、ねらってる訳じゃないよね!?」
「僕は一途だもん。いとこの粋な、はからいじゃない。」
「う〜ん・・・、ありがと・・・。」
「まぁ、カッコいい人は好きだけどね。」
からかうような言葉に、shinpeiは朱い顔で、もぉーっ!と怒った。
「ゴメン、ゴメン。あ、僕達はこれからデートなんだよね〜・・・?」
「え、そうなの?」
「だからさ〜、分かってるよね?」
二ヤリと笑うmasatoに、背筋が震えた。
「いい?あのChiyuさんをデートに誘うんだよ?」
「無理だよ!?」
「大丈夫。買い物付き合うとか、口実つければいいって。・・・あ、戻ってきた。」
並んで戻ってくる美男2人。
席に着くと、masatoが分かりやすくyujiの腕に抱きついた。
「すいませーん。僕達、もうそろそろ行かないといけないんです・・・。」
「あ、そうですか。じゃあ俺らも・・・。」
自然と顔を合わせた。
「ねぇ、Chiyu君。買い物って何なの?」
「え?いやー・・・服、とか?」
「俺も服とか・・・、見たいって思ってたんだ。一緒に行ってもいい?」
そっと、彼の肩に手をのせる。
(ボディータッチ・・・って、確かこんな感じ。)
「・・・ダメ?」
(上目使い・・・って、こうだっけ?)
これも、教わったテクニックの一つだ。
shinpeiは意識して、Chiyuの瞳をのぞきこむ。
「えっと・・・勿論ええよ。」
「本当!有り難う・・・!!」
解散して、並んでいる時にふっと思った。
(これも薬の力なのかな・・・?)
「ぺーさん、ここん中見てもええかな?」
ファッションビルを指している彼に、うなずいて合図する。
(わ〜、Chiyu君の服買うお店って、気になるかも・・・!)
うきうきした気持ちで自動ドアから入っていった。

「ぺーさん、どうかな?」
ビルの中のとある店に入って、Chiyuの服を選ぶ。
その店は男女両方の服が揃っている店で、種類も多かった。
一着、Chiyuはすごく気に入ったものを見付け、試着をしてみたのだ。
グレーのカットソーのような服だった。
「Chiyu君、カッコい・・・」
「大変お似合いだと思いますよ。」
2人の間を割って入ってきたのは、女性店員だった。
shinpeiは自分の意見が聞こえていないかも知れない、と思い、何度かうなずいた。
「ほら、彼女さんも似合うって・・・。」

(か、彼女!!?)

雷に打たれたような衝撃を喰らって、頭の中が真っ白になる。
(何々!間違えられたってこと・・・?)
その女性店員よりも背が低くく、華奢な体型で、色白と男らしくはない顔立ちが重なると、確かに女の子に見えなくもないのかも知れない。
服装も、その日はカットソーに細身のジーンズで若干女の子っぽかった。
(でも・・・、Chiyu君嫌じゃなかったかな・・・?)
落ち着いてきた思考が、そう訊ねてくる。
体が反応してChiyuの方を見た。
彼は丁度、口を開く。
「えっと・・・、これ下さい。」
「はい、有り難うございます。」
Chiyuの動じていなさに、shinpeiは苦笑しながら、少しさみしくなってしまっていたのだった。
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