novel
□SUPER DUPER GALAXY
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『私と仕事、どっちが大切なの!?』
と、詰め寄られた男子は、常に取り巻く焦りと共に、一瞬の喜びを感じずにはいられないはずだろう。
とて、別れの兆しがあることは定か。
そこで、男子がどんな行動にでるかが決め手となる。
もしかしたら、ヨリを戻せるかも知れない。
それでも、仕事をとった男子はなかなか居ないと思う。
一時は、恋を優先するのではないだろうか。
これは、そんな『恋愛理論』の話。
ー
人気V系バンド『LM.C』のギタリストAijiの忙しさは、想像を絶するところにあった。
それは、相方のmayaにすら1ヶ月程連絡を取れないレベルに達していた。
逢うことは勿論、電話やメールも困難な日々・・・。
拷問の様な日常から、解放された喜びの矛先は、mayaに向いた。
仕事に一段落ついたのだ。
早速、ケータイ電話を手に、愛しのmayaにコールする。
手が震えた。
もどかしいなと思うくらいに、声を聞きたかった。
(未だかな・・・。)
いつまでも電子音が鳴っている。
苛立ってきた。
(maya、寝てるのかな?)
現在時刻午後七時三十分。
時計の秒針が天井をさした時、電子音がや止んだ。
代わりに響いた留守番電話。
(あー!! mayaー!!)
一緒に寿司を食べに行こうと誘おうとしたのに。
シュミレートは完璧なのに・・・。
(しょうがない。一人で行くか。)
寿司を食べに行くのも、久々だ。
mayaが居れば、もっと良かったのに。
少し後ろめたく、部屋を出た。
ー
久々の寿司は格別だった。
腹いっぱいになって、大満足だった。
でも、やはりmayaのいない虚しさは晴れなかった。
(明日は通じるかな・・・?)
5年近く寄り添ってきた相方だ、生意気で、へらず口でも。
他に代え難い、大切なmaya。
ふと、視線を前方にやれば、そこにその姿がある様な気がした。
知らない男と歩いている。
幻想なのに、リアルだ。
その声、指、笑顔、全て。
(あれ・・・?)
やがて、幻想のmayaは、不意に振り返り、Aijiの姿を見て、ポッと頬を朱らめた。
本物の様に。
(maya? 本物?)
Aijiは応える様に片手を上げた、満面の笑みで。
こんな街(ところ)で会えるなんて。
Aijiは偶然に感謝した。
もしかしたら、必然なのかも知れない。
そんなことを思いながら、彼に歩み寄った。
しかし、
「え、ちょっ!? 待って・・・!」
少し信じ難いことが起きた。
mayaはAijiがたどり着く前に、共に歩いていた男とどこかへ行ってしまった。
後ろめたそうに、何度も振り返っていたが、男の歩みは止まらず、結局、人ごみに紛れてしまう。
(・・・maya?)
背中が、忘れられない。