novel

□☆ギミギミ☆
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2010年、3月19日。
都内某マンションの一室にて。

「ぺーさん!お誕生日、おめでとう〜!!」

武瑠のかけ声と共に、高々と掲げられたグラス5つ。
それらがぶつかり合ってカツンッと音を立てた。
「みんな、有難う。」
この日の主役、shinpeiが満面の笑みでメンバーそれぞれと目を合わせる。
それぞれにアクションを返す。
皆、共通しているのは、表現は違えどshinpeiに対する暖かな思いがこもっていた。
二カッと破顔、母親の様な微笑み、変顔混じり、男らしさの混じる力強い笑顔。
残念ながら、筆者の筆力が足りなくて、それぞれの個性を上手く書ききれている自信はない。
『☆ギミギミ☆』のBのDVDの順番を参考にして欲しい。
武「今宵は無礼講だ〜!」
パーァンッ!
クラッカーが放たれた。
勿論、Chiyuに向けて。
C「アホか!お前っ!説明欄に『人に向けて放たないで下さい』って書いて・・・。」
y「パーァンッ!!」
C「やめんか、お前までもっ!」
m「まぁまぁ・・・。」
巴の間に入って、三人の興奮を鎮めつつ、shinpeiの方をちらりと見た。
相変わらず、おだやかに微笑んでいる。
m「今日はぺーさんが主役なんだからね、分かってる?」
武「勿論!ねー、ぺーさん。」
ソファに座したshinpeiの脇に腰掛け、横から抱きしめる。
s「苦しいって、武瑠。」
と、言いつつも、引き離すこともなく笑っている姿から、仲の良さが表れる。
・・・その一方で、嫉妬の炎を燃やすメンバーもいるけど。
C「た〜け〜る〜・・・」
武「え?何。Chiyu。」
バシッ!
後頭部に衝撃。
Chiyuが軽くはたいたらしい。
武「何すんだよ!」
C「ペーさんが汚れるっ!」
武「え・・・、何お前。ぺーさんは俺のものっ!的な変態思考?」
二ヤリ・・・。口のすぐ下のピアスがにぶく光る。
悪魔の笑みだと、Chiyuは身震いした。
この合図の先には、自分にとってメリットの皆無な惨事しか待っていない。
C「お・・・おま・・・っ」
武「ま、いーけどね。無礼講だし。変態うぇるかむっ!」
C「へ?ふぅ〜・・・そーなんや。・・・って変態ってなんや!ケンカ売っとんか!」
武「ぶれいこ〜!今宵にカンパイ!Chiyuは変態っ!」
アハハハハ・・・その場を笑いが包む。
m「もう、それは分かったよ。それより・・・、ぺーさんごめんね?誕生日のお祝い、1日早くなっちゃって。」
shinpeiの隣りに、腰掛ける。
s「うんん、全然。むしろ祝ってくれて嬉しい。有難う。」
m「よかったぁ〜。ごめんね、ちょっと明日はyujiのうちで用事があって。お誕生会できないんだぁ。」
s(あくまでyuji君ちでの用事なんだ・・・)
もう、入籍しちゃいなよ・・・、と喉元まで出たが飲み込んだ。
これは、yujiに対するささやかな思いやりだ。
s(そんなこと言ったら、絶対yuji君、まーたんにせまられる・・・)
ふと、隣りにはもうmasatoの姿はなかった。
少し離れた所で、床に直接座していたyujiの隣りに座って話し込んでいる。
瞬間移動にも思えたが、yujiにゾッコンなmasatoのことだ。
4年近く寄り添ってきた2人だから。
s(・・・Chiyu君)
なぜか突発的に、脳裏によぎった人物。
それはshinpeiが以前から想いを寄せていたChiyuだった。
視線を泳がせば、実物が、ベランダで一服している。
s「!」
幸い、彼は背中を向けていてくれたため、目が合うことは無かったが、それでも驚きを隠せない。
自分の無意識の内に彼を意識していたからだ。
どうせだから・・・とその背中を盗み見る。
自分よりも広い肩幅、長身、左耳のピアス・・・。
s(カッコいいな・・・。)
一挙手、一投足。
全てがきまり過ぎて、正直どこを中心に彼の姿を見つめればいいのか分からなくなる。
s(・・・う・・・っ)
急に動悸がした。
体温が上昇する。
頬が染まる。
これ以上は見てらんない、と首ごとまわし目を逸らすと、すぐにそこに武瑠の顔があった。
ニヤニヤとshinpeiの顔を覗き込む。
武「どーしたの、ぺーさん?もしかしてChiyuに見惚れてた?」
s「えっ!?」
ズバリ図星を言い当てられ声が裏返る。
s「いや、その・・・。」
武「やっぱり!? へぇ〜・・・そうなんだぁ。」
ニヤニヤ。
武「あ、そーだ。明日さ、2人でどっか行こって言ってたじゃん?ごめんっ!俺、パスっ!」
s「え?」
武瑠は両手を合わせ、甘える様な視線を向けた。
本当に申し訳なさそうな仕草にいつわりなし。
s「全然いいよ。今日祝ってくれたんだし。ちょっと残念だけど。」
武「ごめんねぇ〜。KERAの仕事入っちゃってぇ。」
s「そうなんだぁ、人気者は忙しいね。」
武「うん。まぁ、そうなんだけど・・・。」
shinpeiの耳元に手を添え、口を近付ける、武瑠。
ないしょ話、と察し耳を傾けた。
武「ぺーさん、デートのチャンスじゃない?」
小声だが、ハッキリとそう聞こえた。
s「はぁ〜っ!?」
耳が赤くなっているはもう明らかに自覚できたが、流石にいきなり発した自身の大きな声には肝を抜かれた。
しかも無関係なmasatoとyujiの視線まで集めてしまった。
イチャイチャしている最中(?)だというのに。
s(は・・・恥ずかしいー!)
s「ちょ、武瑠!?な、何その・・・デートって・・・!?」
武「え?何ってそりゃぺーさんとち・・・ぐほほっ」
m「え?何、どうしたの?」
s「うんん?何でも?」
武瑠は全てを言い切るよりも前にshinpeiに口をふさがれていた。
もがが・・・と未だ何かを言おうと健闘している。
ソの手の話題の予感を嗅ぎつけたmasatoは・・・大きな瞳をいっそうキラキラと輝かせ、好奇心を膨らませていた。
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