novel

□LOVE SCREAM PARTY
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LOVE SCREAM PARTY


「俺ね、ちゆのこと、好き。」


突然の兄ちゃんの告白は、確実にそっち系って一目瞭然やったけども、俺はあえて話題を逸らす。
それは、親が銀座のデパートへ出かけてしまった日曜のことだった。
「今日、えらい晴れやなぁ。おかん達、今頃買い物楽しんどるかな?」
「ねぇ、聞いてる?ちゆのこと、好き。」
「・・・俺も好きやよ。いい兄貴やもん、自慢や。」
「そっち・・・じゃない。」
と、すねた表情をしてみせる。
するり、と腕に抱きついてきた。
そんな、デンジャラスな休日。
(ヤバ・・・。何て返そう。)
正直なことをぶちゃけてしまうなら、俺も以前からこの人のことを想っていた。
勿論、恋愛沙汰の方で。
優しくて、いつも笑顔。
成績も容姿も上の上で、同性異性問わず人気があるのを、幼い頃から俺は知っていた。
世話焼きで、たまに行き過ぎたところもあるけど、素直で愛らしい。
だから、弟である俺なんかが、恋愛対象に、更には好きな人だったなんて夢にも思わなかった。
鼓動が速く多く大きく打つ。
でも、しかし!考えてみる。
本来、男同志ってだけでもタブーとされる現代社会で、付け加えて兄弟愛なんて許されるんやろうか・・・。
(2つもタブーを犯したらアカンやろ・・・っ)
2人並んで3人かけソファに座している。
今までは1人分くらいのスペースが空いていたのに、腕に抱きつかれた時に彼がピッチリひっつくくらいに移動していた。
髪から、いちごみたいな香りが漂っている。
俺とは違うシャンプーの香り。
チラッと横目で見ると、なんとなくついていたTVなんてそっちのけで俺ばかりに視線が集中していた。
目が合いそうなのを寸前でそらす。
「ねぇってば。」
「ま、まず、ちょっと離れてもらってええかな・・・?」
「え〜・・・、却下。」
ですよね〜。
内心で分かっていたはずなのに。
とて、このまま甘やかさせたまんまにしとく訳にもいかず、兄と向き合う。
抱きしめられていない片方の腕で、ぺーさんの左肩をつかんで、やや引き離した。
「否、駄目やから!好きとかそういうの、タブーやろ?」
「好きにタブーとか必要?」
「必要です!俺らみたいなの同士が愛し合ったら駄目なの!」
「・・・何それ。」
声のトーンが1オクターブ下がった。
不機嫌になったサインはいくつになっても分かりやすい。
「じゃあ、ちゆがタブーとかどうでもよくなっちゃうくらいに俺のこと好きになってくれたらいいんじゃん。」
「・・・はい?」
「俺、頑張っちゃうよ。」
「いや・・・マジですか?」

この日から、可愛すぎる兄ちゃん、shinpeiおよびぺーさんと、弟である俺、およびChiyuの、攻防が始まった・・・―。

・・・はぁぁ。
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