novel

□もっと!らぶすく!!
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もっと、らぶすくっ❤

「ねぇ、どう思う?」
すると、目の前の親友は、まゆを困らせて苦笑した。
「さぁ・・・、どうだろうね。」
「何もしてこないんだよッ!?何で?付き合ってるのに・・・。」
さぁ、と首をかしげるばかりの彼に少し腹が立った俺は、顔をそむけて無言でポテトを頬張る。
すぐに、ごめん、ごめんと謝られた。
「でもさ、きっとChiyuも照れてるんだよ。ぺーさんと付き合ってるってことが。」
Chiyuっていうのは、俺の彼氏、兼、弟の事。
もうすぐ、春には中学3年生になって、受験がひかえている。
そして、ぺーさんっていうのは、まさしく俺、shinpei。
春から高校3年生。
ちなみに、親友みっちゃんことMITSURUも俺と同い年。
放課後、新作ファーストフードを味わいに(←みっちゃんが)きた俺ら2人。
丁度、俺の方に相談があった。
それは、弟でもあるけれど、彼氏のちゆが俺に全く手を出してこないという悩みだった。
勿論、自分でも幸せな悩みだとは分かっているけど、本当には血のつながっていない兄弟の俺らなんだし、もっと求めてくれてもいいんじゃないかな、なんて思ってしまう。
俺から何か行動したら、彼は嫌がることなく、尚愛しそうな目で見てくれるけど、あくまで彼から何かしてくれることはない。
俺に応えている感じ。
そのことを相談してみたら、この様。
みっちゃんは詳しく答えてくれなかった。
「・・・照れるって何?嫌ってこと?」
「いやいや、そうじゃなくて・・・。ぺーさんの前では緊張しちゃうとかさ、どうかな?」
「・・・・・・。」
と、そこに、沈黙を突き破るかのように例の人物はやってきた。
嵐が迫るようだった。
「みっちゃ〜んッ!」
「あ、武瑠!!」
少し離れたところにいた彼は手を大きくブンブンと振った後、トレーを持ってこちらにやってきた。
隣りの空席だった4人がけのテーブルを引っ張りながら、奥のソファ、つまりみっちゃんの隣りに座った。
ぺッタリと張りつくように寄り添っている。
武瑠は、ちゆと同級生で幼なじみのみっちゃんの恋人だ。
「偶然だね、武瑠。」
「うんッ!」
「本当に偶然やな〜。」
「あ、ちゆ!」
今までは2人用だった席が、武瑠のおかげで6人用になっている。
ちゆは、テーブルにトレーを置いて、俺の隣りの椅子に腰かけた。
それから、masato君とyuji君もいた。
yuji君は少し嫌そうだったけど、2人は一番端に向かい合って座った。
彼らもちゆと幼なじみで、2人は付き合っている。
しかし、2人は、いたって人の前でベタベタとする訳ではない。
正直、仲が良い友達のようだった。
(う〜ん・・・、やっぱり、こんな感じでいいのかな〜・・・。)
カタンッ。
ふと、ひじを動かしたことで、携帯電話が床に落ちてしまった。
慌てて俺はテーブルの下にしゃがみ込む。
(・・・あ。)
武瑠とみっちゃんの腰辺りが見えた。
2人は横にピッタリひっついているのに、仲むつまじく手まで恋人の様につなぎ合っていた。
いらいらして目をそらす。
すると、視界にmasato君のかばんが映る。
ポケットからのぞく携帯には、可愛いストラップ。
(もしかして・・・。)
自分の味気ない携帯をつかんで、また椅子に座る。
テーブルの上にあるyuji君の携帯には、masato君のストラップとよく似ているものがついていた。
(・・・いいもん。俺らだってお揃いあるもん。)
この前の俺の旅行で買ったお守り。
俺は肌身離さずいつも持ち歩いている。
今だって、制服の内ポケットに、その存在はしっかりある。
服の上から、ポンポンとなでた。
(ちゆも同じで持ち歩いててくれてるかな・・・?)
そういえば、ちゆがあのお守りを手にしているところも、持ち歩いてるところも、置いてるところも何も知らない。
まさか、失くしちゃったとか!?
(いや、流石に・・・。)
でも、彼のことだから考えられないこともない。
この前は宿題のプリントをあきらめていた。
(え〜ッ!?ちょっと、ちゆ〜・・・)
今は友達と楽しそうに笑っていたり、時々目が合うと、二カッと愛しい笑顔を見せてくれているけど、何を考えているのかも分からなくなってきた。
一度マイナス思考になると、何もかもマイナスになってしまう。
はぁ、何も知らない弟が恨めしい。
・・・し、愛しかったりする。
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