novel
□Life 2Die
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―
守りたい人がいる。
強くなりたい理由がある。
選んだ道は、警察。
でも、最近、嫌気がさしてきた。
自分は本当に強くなれるのか。
もし、一人前になったところで・・・―逢ってくれるのか・・・。
守りたかった人がいた。
強くなりたかった理由があった。
―
いつから疎外感を覚ったのだろう。
今まで1人っ子だった分、例え血がつながっていまいと弟が可愛かった。
そして、友達がいた、親友だと思っていた。
幼い頃によく遊んだ。
両者、自ら距離を置いた。
家族でいるのに遠慮して、親に甘えた記憶なんて皆無だ。
弟が可愛い、うらやましい、逢いたい。
親友が好きだ、謝りたい、逢いたい。
・・・・・・逢いたい。
―
結局。
親の期待に応えるまでなのだ、人生とは。
結局。
正しいと言われたことだけするまでなのだ、人生とは。
そうやってきたから、今の自分がいる。
勿論、友達付き合いだって、利益が最優先。
だから、ね?あの子とは・・・―。
はい、分かりました。
ハイ,ワカリマシタ。
―
ねぇ教えてくれ。
なぜ、他人は他人と関わりたがる?
さぁ教えてくれ。
なぜ独りを嫌う?
どうせ、腹ん中では相手のコトを100%信じている訳でもないでしょうに。
なぜ、自由を求めない?
そして、
自分は、いつから1人だった?
いつ、こうなっちまった?
―
家に帰りたくない日は、ほぼ毎日だった。
『自由にさせてやればいいじゃないか。』と父親が。
『お兄ちゃんのように、まっとうな道を選ぶべきよ』と母親が。
その声で目が覚める夜はしばしば。
その度にふとんにもぐりこんで、ジッ・・・と目をつむって耐えた。
朝が来れば2人ともいつも通り優しくなるって知っていたから。
いつの間にか、両親同士は口をきかなくなった。
自分とも話さなくなった。
学校も理解者なんていない。
大好きな腹違いの兄は巣立ってしまった。
居場所が見つからない・・・―。
―
「は〜ぁ・・・どうすっかな・・・。」
夕方の公園には、何組かの親子連れや子供のグループがいる中で、一風変わった雰囲気を放つ人種がいた。
ベンチに座って独り言をブツブツつぶやいている成人男性。
長めに伸ばした髪は黒く、深く落ち込んでいる表情でも彼が美形だということが分かった。
その様はドラマのワンシーンを見ているみたいだ。
ぼんやりとどこかを見つめている虚ろな瞳。
一方で、母親達の視線は、その男性に集中していた。
楽しく遊ぶ子供達なんて、そっちのけで。
(あんな大金・・・用意するの無理だろ・・・。)
説明も曖昧に書類にサインしてしまったことを深く悔やむ。
それで、今こんな状況下なのだから。
ふと、子供達が目に入った。
無邪気な彼らに対して、男性の思考によからぬ案がひらめく。
と、同時に、ベンチの端に荷物を持った少年が座って来た。
特に興味はない。
明らかに注目を浴びそうな美男ではあったが。
(子供・・・。)
5才くらいの子供達をお金にかえることができれば。
でも、それはいわゆる・・・
「ユーカイとかしなきゃ駄目かな〜・・・。」
「ユーカイするの!?」