novel

□LOVE BIRTHDAY PARTY
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「誕生日には、俺をあげるね!」
・・・何て宣言を、まともに受け取れる訳がない俺はうろたえた。
しかし、目の前の恋人、武瑠は本気のようだけど。
「・・・泊りに来てくれるんだったね。」
実は、俺の誕生日を最終日にした3日間、彼がうちに泊まることになっている。
理由は、武瑠の両親の仕事の都合だった。
今日はその初日で、今は毎日と同じように帰っている途中。
行先は、いつもと違って、武瑠の家に送りに行くのでは無いのだけども。
「それが、プレゼント・・・ってことだよね。」
「うん、それだけじゃなくて俺をプレゼント。」
途端に、この3日間に不安が入り混じる。
俺は、溜め息をついた。
10月12日は、俺の誕生日。
そして、今日は9日。
時期としては、嬉しい筈なのに、ね。
「・・・嫌い?」
「え、違うよ!」
「じゃあ、何で喜ばないの!?」
そりゃあ・・・、武瑠のことは大好きだけど、俺だって高校生の健全な男子だ。
好きな人と一つ屋根の下なんて、ちょっと難がある。
「・・・・・・。」
「・・・みっちゃんが俺のことが嫌いなら、」
刹那に感じ取った予感が、マイナスの方を向いていた。

「みっちゃんなんて、もうしらない。」

的中した予感を責める間もなく、俺は駆けていってしまった武瑠の背中を追った。


その夜は予想以上に最悪だった。
まず、武瑠は俺と全く口をきいてくれない。
無論、母さんや父さんには、愛想良く振る舞ってくれるんだけど・・・
「MITSURU、武瑠君と何かあったの?」
「え、いやー・・・。何もないよ。」
彼の入浴中、母さんの鋭い質問に内心で冷や汗をかいた。
女の勘、あるいは母親の鋭い勘は恐ろしく、X線の様だ。
「そう?ならいいんだけど。
「うん、うん。」
「武瑠君に泊まってもらう部屋、MITSURUの部屋だから仲良くしなさいね。」
「え''っ!?」
・・・まぁ、よく考えてみれば自然の摂理なんだけど。
しかし、今というタイミングで同じ部屋はちょっと気まずい。
だけど、ちょっと嬉しい。
「お風呂、あがりました〜。」
と、そこに武瑠がリビングから戻ってきた。
長めのパーカーとレギンス姿で、首からタオルをかけている彼を見たのは初めてだったけど、
俺がドキドキしたのは濡れた髪と朱く火照った肌だった。
(可愛い・・・。)
「武瑠君、MITSURUの部屋で寝てね。うちを、自分の家だと思っていいのよ〜。」
「ありがとうございます!」
母さんは、リビングを出て風呂へと行ってしまう。
生憎、父さんは出張だし、リビングで二人きりになった。
「た、たけ・・・。」
「・・・・・・。」
プイっと顔を背けて、武瑠は俺の脇を通り過ぎていく。
ソファに無造作に座った彼の隣りに、慌てて座った。
「見たい番組とかある?」
「・・・別に。」
「あ・・・、ゴメン。」
つい、その迫力に謝ってしまった。
・・・が、俺にはもっと謝らないといけないことがあるはずだ。
(ちゃんと、謝らなくちゃ・・・)
そんな事を考えて、堂々巡りをしているうちに、いつの間にか就寝時間になっていた。
「武瑠がベットに寝て。俺は布団に・・・」
言い終えるより先に、彼はゆかにひかれた布団に潜り込んでいた。
「えっと・・・。」
「・・・・・・。」
俺は電気を消して、サプライズで彼の布団に入った。
「な・・・、何のつもり!?」
「い、いやぁ。」
「その・・・、暑苦しいっ。やめて。」
「は、はい・・・。」
背を向けられたまま、冷淡な声で言われると、何も言えなくなる。
俺は、しびしぶ布団から出て、ベットに寝転んだ。
そのまま、眠れない俺と、背を向けた武瑠は、朝を迎えた。
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