novel

□swee†birthday
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「・・・んっ」
武瑠が目を覚ました時、視界は夜の空の様に暗かった。
しかし、すぐにそれが目隠しのための布だと察する。
(何・・・、どういうこと?)
起き上がろうとて、それは叶わない。
何かに、頭の上の方で両手を拘束されているようだ。
(ちょ・・・、冗談?)
ふと、今まで無音だった空間に、ガチャという音がうまれる。
(扉が開いて…、誰かが近づいてくる…っ!?)
見えない恐怖に足を曲げて身を丸めてみて、新たなことに気がついた。
(俺、今・・・っ)
触れたぬくもりが、直に肌に触れた時と同じだった。
上にブランケットのようなものが掛けられているだけで、躯はまともに衣服を纏っていないようだ。
「おはよう、気がついたかな?」
聞こえた声と、頬に触れた手に暗闇の中で目を見開く。
「み、みっちゃん…?」
「うん、そうだよ。」
いつもと変わらない声に、背筋が凍って声がでない。
ブランケットにくるまれた躯が、ガタガタ震えだした。
「ごめん、寒い?」
「な…、なんで、こんなこと…っ!?」
「君が欲しいから。」
いつもは甘い言葉も、今日は味が違う。
暗闇の中、怯えていると唇に温もりが触れた。
熱い唇が、武瑠を捕らえて離さない。
舌を絡めるキスに、少しだけ酔った。
「今、目隠しを外してあげるね。」
急にひらけた視界は眩しくて、キュッと目を瞑る。
ゆっくり、徐々に瞼を開けると、そこは見たことのない部屋だった。
「ここ…、どこ?」
「俺の家。そっか、まだ連れてきたこと無かったね。」
間近に迫った顔が、愉快そうに笑んでいる。
不覚にも、武瑠はその表情がかっこいいと思ってしまった。
その隙をつかれて、再び軽いキスを受ける。
「大分、震えもおさまってきたね。」
「俺、みっちゃんにどうされちゃうの?」
顔の横の腕を見ると、かろうじて着ていた白シャツだけはそのまま、ボタンが全開にされているようだ。
今はブランケット1枚で隠されているが、それを奪われてしまえば、躯が露になってしまう。
その目的が分からない訳ではないが、そうであってほしくないから、尋ねた。
「そうだな、武瑠が可愛くしてくれていれば、なにも怖いことはしないよ。」
ブランケットの下に、彼のてが侵入して内腿をなぞる。
大切なものを扱うような手つきが、今はゾッとした。
「・・・何、それ?」
「君の気持ちが俺以外に傾きつつある気がするんだよね。」
片方の手が、顎に添えられる。
よくわからなくて、首をかしげた。
「どういうこと…?」
「君には、俺のことだけ好きでいて欲しいから。」
次第に力んでいく彼に、抵抗しようとしても手が不自由では上手く出来ない。
内腿を擦り合わせてみても、かえって逆効果だった。
「・・・っつ、あぁ…っ」
「ごめん、嫌だった?」
手を退けるMITSURUの表情は神妙で、眉間にはシワが刻まれている。
武瑠は、涙ぐんだ目で睨み付けた。
「謝るなら、するな。」
「欲望だから、それはなかなか難しいね。まあ、目的が君に夢中になってもらうことだから、君の意思も尊重するつもりだけど。」
「じゃあ、服返して。」
それは駄目、と笑う。
太股に、彼の片手がまた触れた。
「意外にも、純潔だったね。もっと、痕とかあるものだと思ってたけど。」
「それを見るためだったんだ?」
「そう、そういうこと。」
白くて華奢な躯は、まだ汚れを知らない。
だから、MITSURUに触れられる熱は新鮮で、武瑠を興奮させた。
「ん…っ、身体検査は終わってるんでしょ?」
「それだけのためだと思う?」
「あ・・・っ!?」
ブランケットを奪われて、露になった躯に冷たい空気が触れる。
危険信号のように、ガクガクと小刻みに震えだした。
「本気で…、なにするつもり…!?」
「さぁ…、君次第。」
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