novel

□武士道-bushido-FREAKY
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悲鳴にも似た声でそう言われては、やや教育係も兼ねていた武瑠の耳が痛くなる。
「あと、ロウニンとは?父上がいけないとおっしゃっていたのですが・・・。」
耳鳴りさえしてきそうだ。
「ぺーさん・・・、本当に十八迎えても大丈夫?」
「はい?」

「なるほど・・・。」
浪人の意味をなんとなく理解したshinpeiは、この世の終わりのような顔をしていた。
「・・・どしたの?」
「父上が・・・っ!! こうしてはいられません!!」
shinpeiは、立ち上がる。
「武瑠、城下へ参りま・・・。」
「って駄目でしょ、ぺーさん。」
「・・・え?」
武瑠が無言で指をさしたのは、部屋のすみに放置されている琴だった。
「あれ、練習しなきゃでしょ?今宵の宴で演るんでしょ?」
「・・・父上がつづみでもよろしいと。」
「うそ!つづみの方が得意だからって逃げないの。上様、琴、楽しみにしてるよ。」
「・・・・・・。」
その場に再びぺたりと座りこむのを見て、武瑠はうん、うんと頷いた。
畳の上に、淡い色の着物の裾が広がる。
「分かりました。」
「じゃあ、俺は宴の準備してくるね〜。」
と、今度は天井の方に消えていく。
「・・・ふふ。」


城下町の中には甘味屋もいくつかあったが、その内の一つ、MITSURUという青年が店主の店には、岡っ平(おかっぴき)のyujiが来ていた。
幼なじみでもある2人だが、同時に契約を交わした関係でもある。
それは、その甘味屋の裏の顔をさしていた。
その甘味屋が、情報屋という面も携えている、というのは知る人ぞ知る。
本来、岡っ平は難航した事件でも、情報屋など頼らないのだが、yujiは少し変わっていた。
しかし、今日は特に事件を抱えている訳ではないから、至ってのんびりとしている。
「あれ、今日はデートじゃなかった?」
「あー・・・、デートっつーか、ランチ一緒に食べるだけ。」
「だけ」と言いながらも、yujiの口元はゆがんでいた。
彼らはナンバーワン人気の花魁(おいらん)とも幼なじみで、またyujiとは付き合っている。
「いいな〜。結構頻繁に逢えてるよね。」
「んなことねーし。もっと逢いてぇし。」
「いや〜ッ!俺も羨ましいわ。」
「お、お前は・・・っ!!?」
MITSURUとyujiが絶句する。
まるで、幽霊でも見ている様な表情を浮かべている。
「・・・何や、お前ら。落武者でも見てるみたいな面やぞ。」
「お前・・・生きてんのか?」
「んなっ!? 当然やろ!?」
「Chiyu〜! 久し振りだね〜!!」
見ない内に幾分大人っぽくなった幼なじみの顔に、2人は時の流れを感じざるを得なかった。
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