黒執事

□第7話
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「割と盛大ねぇ。やっぱり今夜が今年の社交期最後なのかしら」


「楽しい夜になりそうじゃないか」


「一度警戒されれば終わりだ。遊びに来ている訳じゃない、気を抜くな!」


そう注意するシエルの格好はなんとも可愛らしいもので、正直…


『威厳もなにもないね』


「なっ…うるさい!なんで僕がこんな格好を…」


『いいじゃん、可愛いよ?女装似合ってるし、僕っ娘は公認の萌キャラだしね!』


「なんの話だ!!」


今のシエルはツインテールのウィッグをつけ、ドレスを身に纏っている


いわゆる女の子の格好をしてるんだけどびっくりするぐらい似合ってるんだよね、これが


「レディがそんな大声を出すものではありませんよ」


そう言って現れたのはメガネをかけたセバスチャン


メガネ姿もまたかっこいいなー…無駄にイケメンなのは悪魔効果か


その美しさで人間を魔道に堕とすんですかー?(←違う)


「設定通りちゃんとやってよ?劉は私の若い燕役、シエルとヴァルツは田舎から出て来た私の姪っ子姉妹役、セバスチャンはその家庭教師役」


マダムによる役の説明でわかったと思うが僕も姪っ子役のため女装している


僕のドレスはシエルのより少し露出が多くて全体的に大人っぽい


「なんで僕が姪っ子役なんだ!しかもヴァルツの妹…!」


ちょっと、待って。


後半のはどういう意味かな?


「私、女の子が欲しかったのよね!」


「そんな理由で…⁉」


『お、落ち着いてシエル!とても女の子とは思えない顔になってるから!


ついでに年齢的にも身長的にも僕のが上だからね⁉妹なのは諦めて!』


辺りに花を咲かせるマダムと対照的にシエルは禍々しいオーラを放つ


「…ってのはまぁ冗談で、それが1番いい変装じゃない!」


まぁ、こんな身なりいい執事連れた隻眼の少年なんて滅多にいないし…すぐバレるよね


セバスチャンが変装として成り立っているかは疑問だけど


メガネ掛けて髪型変えただけで変装と果たして言えるのか?


「それにドルイット子爵って守備範囲バリ広の女好きらしいからそっちの方が都合いいって!


幼い可愛さはシエルが、大人っぽい色気はヴァルツが担当!両タイプ揃えたんだから完璧ね!」


キュートとセクシー選べれますよってか


「はっはっはっ、手を出すのは犯罪じゃないかなぁ」


劉さん、それは性別的な意味で?それとも年齢で?


ってか、どこまでの行為を想像しているのかな?


『言ってたじゃん、どんな手段でも使うって。これも"彼女"のためでしょ?』


僕がそう言うとシエルは黙り込んだ


それを見計らってセバスチャンが笑顔で声をかける


「では参りましょうか、お嬢様」



…彼にとって屈辱的な言葉とともに


「まずはドルイット子爵を見つけなくてはいけませんね」


その言葉に辺りを見渡すもいかんせん人が多くて見つからない


「ぁ、あのっ…ヴァルツ様!そ、その…ドレスのリボンが、解けてます…」


すると後ろからグレルに声をかけられた


『ホント?じゃあ結び直してもらっていい?』


そう言うと彼はリボンを結び直してくれた


その途中で彼は熱っぽい溜め息とともに唐突に話しだした


「ヴァルツ様は…赤い色がよく似合いますね」


『え、そうかな?マダムには遠く及ばないだろうけど』


「奥様もそうですが…ヴァルツ様にもよく似合ってます。


この赤いドレスもお似合いです」


そう言って彼はマダムの元へと戻っていった


なんだかよくわからない奴だ
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