黒執事
□第15話
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「で、お前らはいつまでいる気だ?」
朝食開始と共にシエルが不機嫌そうに問いかける
「用事が済んだら出て行く」
その目線の先にいるのはもっさもっさとナンを口に詰めるソーマだ
「例の人探しってやつかい?」
僕の前に座っている劉が朝食を口に運びながら問いかける
「だからなんでお前までここに泊まっている」
「いいじゃないか、ヴァルツ在る処に我も在りってね」
完全に苛立ちの隠しきれていないシエルだがさらりと劉に流されてしまっている
『そういうのストーカーって言うんだよ』
僕のいる処に劉もいるとか…考えただけで気分悪い
「ひどい言い草だなぁ…あんまり冷たくされると流石の我も泣いてしまうよ」
『勝手に泣いてろ』
袖を目元にやりながら泣き真似をしてみせる劉に微かに苛立ちを感じた
「お前らはこれに見覚えがあるか?」
僕らが馬鹿みたいなやり取りをしている間にも話は進んでいたらしい
シエルからソーマが書いたという似顔絵を見せられる
「うーん…我はこんな美人にはお目にかかったことないなぁ」
一瞬の間がおかれた後、苦笑しながら劉が答える
が、今のは聞き捨てならないセリフだ
『いや、それどう見ても美人じゃないでしょ…なにこれ、ヴェッラに失礼だよ…』
イタリア人としては当たり前の女の子好きとしての血が示すままに言ったらシエルに足を踏まれた
『痛…っ!?』
納得できないし、すごく痛い
「で、その女はなぜ英国に」
僕の苦悶の声など聞こえない振りで話を続けたシエルだったが
「聞けえっ!!!」
『シエル、無視されちゃったねー』
突如としてお祈りを開始していた2人にその疑問が届くことはなく、代わりのように僕の少し馬鹿にしたような声が応えた
「ご神体といいますか…私には生首を持って生首のネックレスをかけ男性の腹部の上で踊り狂っている女性の像にしか見えないのですが」
ご神体というにはかなりシュールなその像を見たセバスチャンの感想はなんというか…
「『そのままだね』」
・・・・・。
『うわぁぁぁぁ!!!劉なんかと思考が被るなんて屈辱だ!!』
同じことを同じタイミングで言ったことによるショックが大きすぎて思わず叫ぶ
我ら似たもの同士だねーとかふざけたこと抜かした劉はとりあえず殴っておいた