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□第84Q
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「…ろ、起きろ…おい!起きろ!」
『ん…』
耳元の火神の声に起こされた流がゆっくりと瞬きを繰り返す
「おはようございます。もうお昼ですよ」
ひょこりと机の前に座った黒子が顔をだす


「随分ぐっすり寝てたな」
自分の席に戻ってパンの袋を開けながら火神が話す
『あぁ…うん…随分と懐かしいもんを見てた』
まだ眠気が取れないのか机の上に伏せた状態で流が答える
「ふーん?」


「ところで流くんは木吉先輩が今年最後って知ってましたか?」
『…は?』
黒子の問いかけに一拍おいて流が反応を示す
「こないだ2号探してる時に主将と喋ってんの聞いちまってよ…」
火神の言葉を聞いているのか、大きな音をたてて流が椅子から立ち上がる


「流くん!」
『悪りぃ、俺ちょっと行ってくる…!』
黒子の制止を聞かずに流は教室を飛び出す
"今年最後"という言葉だけが彼の頭をぐるぐると巡っていた


ードンッ


「ぅお!?」
『すいませ…っ』
流が謝罪しながら顔をあげるとぶつかった相手は日向だった
「どうした?んな血相変えて」
『あいつが…最後って……』
そのフレーズでわかったのだろう
日向の目の色が変わった


「おーい、日向ァー?どうかしたのか?」
教室からひょっこりと木吉が顔をだした
どうやら教室の出入り口の前で動かない日向を不思議に思ったらしい


「はぁ…お前に客だよ」
木吉を見て意図せず流の体に力が入る
「ん?流じゃないか。珍しいな、オレのところにくるなんて」
「お前らちょっと話してこい。ここだと邪魔だから外行けよ」
そう言って日向は流と木吉の背中を押した


「あっ、おい、日向?」
「昼休み終わるまで帰ってくんじゃねーぞ」
後ろ手に手を振りながら日向は教室に戻っていく


「どうしよう…オレ、昼メシ食べれないぞ」
『うるせぇよ』
後に残ったのは完全にずれたことを言う木吉と本気で呆れている流だけだった
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