黒執事

□第8話
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『ゃ…ぁっ…劉…っも、ムリぃ…』


「ほらほら、壁に手をついて。もっと力抜いてよ、ヴァルツ」


『できな…っぁあ!…で、る……でちゃう…から…ぁっ!』


「えー?まだまだこれから、だよ。ほら、すごい締めつけてる」


『んんっ…言わなっ…で!…ぁっ…イ、イく…イっちゃ…、』


「ふふ…こんなもんかな」


『、っ…逝っちゃうって!これ、本気で死ぬ!』


ガシャンッ…


『はっ…はぁ…っ!夢、か…劉のやろー…思いっきりコルセット締めつけやがって…!』


なにか金属が床にぶつかるような音で目が覚めた


くっそ…劉はいつか泣かす…!


『!』


手を動かそうとしてそれができないことに気付く


縄かなにかで縛られてるな


いや、手の拘束だけじゃなく目隠しもされてる


とりあえず状況把握をしたい


ここはどこだ…?


「ご…粛に…は…お待ち……商品…す」


今のは子爵の声か!


いや、他にも複数の人の気配とシエルも居るな


配置としては僕1人が少し遠くにいるのか


「愛玩……儀式…える……バラ売り……」


愛玩、儀式、バラ売り…そして今の僕の状況


それらから割り出せるのは…闇オークションか


…となると今、売られているのはシエル


子爵は殺した娼婦の臓器はココで売り捌いていたという事か


いや、待てよ?


わざわざ臓器だけを売るのか?


僕やシエルのように1体の人間として売った方が高くつくはず


それに、あんな殺害をするより誘拐の方が簡単だろう


子宮だけを売るのも、取るのも損失こそあれ利益はないような…


「セバスチャン、僕はここだ」


思考に耽っていると今までおぼろげにしか聞こえなかった声が


シエルのだけハッキリと聞こえた


すると子爵達がどよめきだす


…と、同時に人とはまたどこか違う気配


『…セバスチャン、か…』


どうやらお迎えが来たらしいことを不特定多数の呻き声と複数の殴打音から予測する


「本当に捕まるしか能がありませんね、貴方は。


呼べば私が来ると思って不用心すぎるのでは?」


少ししてからすぐにセバスチャンの声が聞こえた


2人の声は不思議なくらい鮮明に僕の鼓膜を揺らしていた


その声を聞きながら手を拘束している縄を切るためドレスに潜ませていたナイフを取り出す
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