企画部
□「痛い痛い」と泣き叫ぶ
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prologue.
キミが隣にいる感覚がしない
今までは確かにそこにいて、
いつだって存在を感じていたのに。
手を伸ばせば指を絡めて、
「オレに勝てるのはオレだけだ」
振り向けば目が合って、
「息巻くのは勝手だが彼我の差は圧倒的なのだよ」
名前を呼べば抱き締められて、
「オレは負けねぇスよ、誰にも」
笑いかければ頭を撫でられて、
「イライラするんだよなー。そーゆームダな努力」
隣に並べば黙って歩調を合わせてくれて、
「簡単に勝てては面白くもなんともない」
何かすれば恥ずかしそうに俯いて、
「ボクは仲間を利用してボクのバスケを認めさせようとしてました」
それで…それで……、
『俺、バスケ部のメンツでいるのすげー好き!ずっとこの関係でいたいぐらい』
…それ、で……?
『離れてても俺等はずっと仲間で、親友だからな』
まるで五感を奪われたかのように
ボクの心はからっぽでちっぽけだった。
『俺は…無力だ…っ…、』
自分の無力さを痛感して、
世界が歪んだような気がした。
-キミはもう、どこにもいない-
サイト1周年企画
第1弾『痛覚』
2012.07.05.