恋次
□夏と言えば花火大会
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「隣座るぜ?」
『え、アタシ今から帰えるよ。』
少し遠慮がちに尋ねる恋次に、桜子はその場にしゃがむ。
「は?何でだよ。」
『一人で花火とか淋しいし。』
桜子は空をゆっくり見上げたあと、首を傾げた恋次へと視線を向け、小さく苦笑した。
そして、桜子が立ち上がり帰ろうとした時だ。
「俺も一人だ。」
パシッと手を捕まれた。
突然の事に、桜子は驚いて恋次を見下ろす。
いつも自分より大きくて、上から見下ろす彼が心なしか少し小さく見えた。
桜子の手を掴んだまま、ジッと見上げる恋次。
ドォーン…
そんな中、空高く一発目の花火が上がった。