修兵

□花のような笑顔の人
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その翌日、俺はすぐに梓さんの所へ足を運んだ。





『あらまぁ、どうかなさいましたか?檜佐木副隊長。』





突然現れた俺の姿に彼女は一瞬驚いたように目を見開くが、それはすぐにいつものように優しく細くなって笑顔を作った。





あぁ、この人は誰にでも優しいのだ





しかし、今俺に向けた笑顔よりも、あの時阿近さんの手をとっていた彼女の笑顔の方がとても幸せそうだった。





「阿近さんと結婚するんですか?」

『あらまぁ…よくご存知ですね、噂になってるのかしら。』





恐る恐る吐き出した俺の声は少し震えていたかもしれない。

だけど、貴方は少し照れたようにそれはそれは幸せそうにとびきりの笑顔で微笑んだ。

阿近さんに見せたあの笑顔で。






「おめでとうございます。」

『まぁ、ありがとうございます…。お祝いのお言葉をいただけるなんて嬉しい。』


「幸せですか?」

『えぇ、とても。』






コロコロと笑う声音はいつものように穏やかで温かくて、さっきまで辛かったはずなのに梓さんの笑顔を見た途端、いつものように俺も自然と笑みがこぼれた。





「梓さん結婚しちゃうけど、俺はここに来てもいいですか…?」

『何をおっしゃいますか、いつでもいらしてください。』





「私はここで待ってますから」と温かい手を差し出して、冷たくなった俺の手を温めてくれた。





母がいたなら、きっと貴方のように温かいのだろうか。


大好きなんだ


恋心ではなく


それは初めて知った、母を慕う子供のような想いだったのだ









いつまでも

温かい笑顔が見たいから

俺達は 俺は

優しい貴方を

時々頼ってしまうけど

どうか花のような笑顔を

いつまでも










End.






アトガキ
この流れだと阿近さん主人公泣かしたら皆にフルボッコですな(笑
今回は、恋慕うじゃなくて、純粋に母親になつく子供みたいなのが書きたくて書いちゃいました…
なんかすみませんorz
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