黒子のバスケ

□幼なじみ
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「マジか!!」





友達と話ながら楽しそうにしている大輝。





「あ、そうだ青峰、お前武智さんと幼なじみなんだよな?」





最初は視界に入れている程度だったのに、次の瞬間には彼を凝視していた。





「あ、アイツは幼なじみなんかじゃねぇよッ!!」



幼なじみ…じゃない…?



否定された時は、さすがの私でも体が固まって動かなくなった。



さつきは幼なじみで、どうして私は?



仲間外れにされた、と言うよりも存在を否定された気分だった。



いつも三人だったのに、大輝の中には私はいなかったのかな?



自分だけが、ずっと幼なじみって思ってたのかな…。





『ばっかみたい。』





自分で思っていたよりも大きな声が出た。

いつもより低くて、冷たい声が出た。

私の声に、教室中が水を打ったように静まりかえる。

私と大輝の視線がしっかりと合う。

大輝は私の方を見て目を見開いていた。


そんなにひどい顔をしていただろうか。


数秒間、視線を合わせた後、先に視線をそらしたのは私だった。


そういえば、大輝は中学の頃から私の事は苗字で呼ぶようになったよね。

さつきは呼び捨てなのに。

遊びにもさそってくれなくなったし、話す事だって減ったもんね。


鞄を引っつかんで教室を飛び出した。

廊下ですれ違ったさつきに、先生に早退すると伝言を頼んで全力で走った。





「おい!!武智!!」


『大輝のバーカぁああ!!』





追い掛けてくる大輝を、廊下や階段を曲がったりして振り切ってやった。



陸上全国大会優勝者なめんなバカヤロー

追い掛けてくんなバカヤロー



滲んだ涙を制服の袖で拭って、部室で靴を変えてからは、またひたすら走った。






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