黒子のバスケ
□幼なじみ
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何秒かたってから、彼は私の隣へと腰掛けた。
公園の中を風が吹き抜ける。
先程目の前を通りすぎた子供達の声が遠くで聞こえた。
ダムダムとボールの跳ねる音、笑い声に、駆ける足音がこだまする。
いつまでも顔を上げない私を見兼ねたのか、大輝が口を開いた。
「なぁ…お前は、俺と幼なじみでいいのか?」
その大きな手が私の頭へと置かれた。
言っている意味がわからない。
幼なじみじゃないと言ったのは自分じゃないか
否定したのは大輝じゃないか
私はずっと…
『私、は幼なじみ、じゃ、ないんでしょ?』
「Σな、何で泣いてんだよ!?」
ずっと幼なじみだと、私達は特別だと思っていたのに
泣きながら顔を上げる。
頭の中はぐちゃぐちゃだった。
ギョッとした顔で慌てている大輝を余所に、決壊して溢れる涙はその量を増すばかりだ。
止める術は今、私にはない。
「泣くなよ!!」
大輝も慰め方などわからないと言った様子で、昔のように私の頭を自分の胸に引き寄せた。
こういう事はするくせに。
『だっ、て、大輝が幼なじみじゃないって言うからッ…ッ!ずっと一緒だったのに、私は違うって、仲間外れにするからッ!!』
グズグズと涙を止めようと目を擦りながら、訴えるように大輝の胸を叩いた。
すると、いつもより優しめな声が私へと降ってきた。
「ワリィ…そう言う意味で言ったんじゃねーんだ。」
『どういう…事…?』
次の瞬間、背中へと大輝の手が回され優しくトントンッと叩かれた。
大輝の言葉に私は顔を上げる。
言っていることがわからない。
「俺、お前と“ただの幼なじみ”は嫌だ。」
大輝の言葉にまた泣きそうになる。
そんな顔をするな
すると、そう言って彼は私の涙を拭った。
泣き腫らした目は真っ赤で、はれて、少し痛かったが嫌ではなかった。
「俺は…お前と幼なじみじゃなくて、だな…。」
『大…輝?』
少し戸惑ったような彼の声。
背中へと回された腕が私をより、彼へと引き寄せた。
大輝の心臓が速い…
抱きしめられていると、正確に認識したのはこの時だった。
「俺は、お前の“恋人”になりてぇんだ!!」
だから幼なじみは嫌だ、誤解させたのは謝る、と彼は苦笑しながら私の首筋へと顔を埋めた。
「ずっと好きだったんだよ、琉無が。」
『ウ…ソ…。』
囁かれた言葉に、私は目を丸くしながら彼の青い髪を見つめた。
彼がそんな事を言うとは思わなかった。
だから…幼なじみじゃないって…
紛らわしすぎる。
「俺と付き合え、幼なじみじゃねぇ、恋人になれよ。」
『もぅ…大輝のバカッ!!』
真っ赤になった彼の顔に、私の涙はいつの間にか消えて、変わりに笑顔で頷いていた。
恋人としての
君がほしかった
End.
アトガキ
青峰君が饒舌すぎる件について…←
お詫び申し上げますッ!!orz