黒子のバスケ
□誰も知らない失恋
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『彼女…いるの?』
「え、あぁ…まぁな。」
嬉しそうに、照れた用に笑う君の顔とは裏腹に、表情をなくしていくのは私の顔。
心の中にあった小さな宝石
それは一瞬で輝きを失って
砕け散って
そして消えていく
『そうなんだ…なんか以外。』
笑えなくなった顔を背けて、窓の外を見ながら発した声にはもう力はなかった。
あんなに楽しかった会話も、見飽きることのなかった君の笑顔、無意識に目で追っていた姿さえ、もう直視する勇気すらもなかった。
「すっげぇ幸せ。」
ちっぽけな本当に小さな宝石
不意に輝き出した小さな光
何度も戸惑って
それでも大切に守ってきた
淡い恋心の小さな光
原石に近い宝石は彼の言葉一つで粉々になった。
一瞬で散らばったカケラを集める術を、私は知らない。
『幸せそうで何よりですわ、まぁ精々フラれんよーにね日向順平くん。』
生意気に口をきくのは、もう強がりでしかない。
振り返らずにヒラヒラと手を振ってその場を後にする。
もう
笑っていられる自信がなかった
帰り道。
真っ暗になった夜空には沢山の星が散りばめられていた。
瞬く光に手は届かなくて
集めることも叶わない
それはまるで
砕けて消えていく
私の恋心だった
End.