恋次

□夏と言えば花火大会
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一人になってから待つこと30分。




携帯の着メロが鳴る。




通話ボタンを押すと、興奮したような友達の声と、その後ろでは聞いたことのある男の声がした。












『へぇ…、檜佐木さんと見るんだ?わかった、気にしないで。』










桜子は携帯から声が遠ざかったのを確認して、ピッと電話を切った。






花火開始5分前の放送が、近くの柱に括り付けられたスピーカーから流れる。












『少しは気にしなよ。ったく。』












閉じた携帯を恨めしそうに睨むと、そこには眉間にシワを寄せた自分の姿が写った。







周りを見ればカップルだの友達同士だのと楽しそうに、花火の上る前の夜空を見上げる人々の姿が目に入る。







一人、淋しく座るのは自分だけではないか。










パタパタと団扇で顔を扇ぎつつ、桜子は小さくため息をついた。















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