恋次
□恋の色は何色ですか?
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17:20
携帯に表示された時間を見て、パタリと携帯を閉じ、鞄に突っ込んだ。
アイツはもうとうに帰っただろうか?
すっかり暗くなった空を見上げて、ため息をついた。
運動するには向かないスニーカーで、7キロはやはり厳しかったらしく、足の裏がヒリヒリと痛んできた。
学校を出たのは3:10
鞄が重い、足が痛い、痛い…
『あぁ…疲れた…。』
ガタンッと公園のベンチに鞄を投げ出だし、腰掛ける。
家に帰るには、あと1時間歩かなければならない。
電車に乗れば良かったなんて、思いはしないけれど…
空を見上げると、真っ赤な夕焼けで、空が赤くなっていた。
太陽はそれ以上に赤く、まるで、アイツの髪みたいだった。
「なんだ、やっぱり小春乃じゃねぇか。」
そんな事を考えていた矢先、後ろからかけられた声に、恐る恐る振り返った。
聞き間違う筈はない…
『なんでこんなとこにいんのよ…』
「金曜だしよ、歩いて帰ろうと思ってな。」
真っ赤な髪と、ニィと得意げに笑った顔が視界に入ってくる。
なんでこんなところに?
告白はどうしたの?
電車に乗らなかったの?
どうして…
頭の中でグルグル回る言葉を、振り切れずに固まっていると彼も隣に腰を下ろした。
「なぁ…俺、今日告白されたんだぜ?すごいだろ♪」
『へぇ…良かったじゃん。』
何を話すかと思えば…
「電車乗ろうとしたらよ、お前とよく話してる奴に手ぇ引っ張られてホームで告白されたんだぜ?」
得意そうに笑う彼の言葉が、一つ一つ重くて辛て目線が地面へと移動する。
興味のないフリをするのが精一杯で、口から出た声はいつもよりトーンが低かった。
やっぱり告白されたんだと、ショックを受けたのが本音で、あんな可愛い子にされたんだからきっとオッケーしたんだろうな…
あの子が降りる駅で、一緒に降りて…
早速家まで送ってきたのだろう…
なんて、恋次の楽しそうに話す口ぶりから、どんどん想像が広がっていく。
『で…?』
顔は引き攣っていないだろうか、泣いてはいないだろうか
確認の為に、さりげなく顔に手をあてた後、ゆっくりと顔を上げると、少し恋次の顔が赤くなっているように見えた。
あぁ…
諦めよう…
「お前はどうしたって聞いたら、歩いて帰ったつったから、俺もそっから歩いて来た。」
『は?』
そう決心した瞬間、彼の口から唐突に出た言葉に私はポカンと口を開けた。
話しの意図が全く読めない。
告白されてそれからどうした?
『意味不明…なんだけど…』
「俺、好きな奴がいんだよ。」
話しの方向がズレ過ぎているような気がするんだけど…
だけど、傷つく一言にはかわりなくチクリと痛む胸。
『そ、そうなんだ…。』
「だから告白してきた奴フッて、好きな奴追い掛けてきた。」
『は…?』
再び私はポカンと口を開けた。
追い掛けてきた?
好きな人を?
フリーズしたように頭が上手く回らない。
回りを見渡しても、暗くなり始めた、小さな公園にいるのは私と貴方だけ。
顔に熱が集まる。
期待していいの?
「あのな…」
『Σ…!?』
薄暗かった視界が、再び、夕焼けとはまた違う真っ赤な色に染まる。
ふんわりと香った香は、私がまだ知らない男の香。
「俺、小春乃が好きなんだけど。付き合わね?」
『Σな…っ……』
ギュッと抱きしめられた後、貴方の顔がすぐ近くで真っ直ぐ私を見つめた。
顔が熱い…
息ができない…
「その反応は期待していいんだな?桜子…」
彼がニヤと笑った後、唇に柔らかい感触が当たった。
真っ赤な真っ赤な
恋をしました
手繋いでかえろうぜ?
馬鹿…
End.