恋次

□演奏会の為に特訓しよう
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ブゥーンと鳴るバリトンサックスは、いつ見てもカッコイイ。

恋次が持つと、大きめのバリトンサックスがさほど大きく見えないと言うのも中々ツボだ。


低音楽器で実はバリトンサックスが一番好きだ

見た目がカッコイイ

音はテューバが一番好きだけれど



カチカチカチとメトロノームが鳴る。




メトロノーム…





『メトロノーム狂ってない?』





降り幅の左右の距離がなんとなくズレている気がする、そう感じた私は恋次を振り返る。





「Σえ!?そ、そんなことないと思いますけど…」





慌てる恋次に「そうかな?」と首をかしげもう一度音を聞く。






やっぱりズレてる






『アンタも一護もさメトロノーム狂わすよね、仕方ないちゃ仕方ないけど注意しなさいよ。』





この間は確かテナーサックスの一護のメトロノームが狂ってた。


「ほら、明らかに右側がはやい」と教えてやるが、恋次はまだイマイチわかっていない様子。





春から初心者で入ったのだから仕方ないけれど…





一護といい恋次といい部屋の中で使っているはずのメトロノームを狂わす天才。


私が知っている限りでは恋次は落っことして壊したのを入れて四つ目、一護は確か三つ目だ。

クラリネットのルキアやフルートの織姫の木管の女子はまだ一つも狂わせていない。


金管は外で吹くから仕方ないとして、室内にも関わらず狂わせすぎだと目を向けると、すこし焦ったような恋次の顔があった。





『ほら。』

「…くれるんすか?桜子さん…。」






ちょっと言い過ぎたかな、と思った私はポケットから小さなメトロノームを取り出した。





『うん、それなら絶対狂わない。』


「あ、ありがとうございます…。」





電子メトロ

顧問の七緒先生にお願いして買ってもらったもので、持ち運びも便利だし何せ電子なもんだから絶対に狂わない。


使い方は恋次に曲を教えるときに使っていたから知ってるだろう。




時計を見れば5時を過ぎていた。




「壊すんじゃないよ」と念を押したあと、私はせっせと片付けを始めた。


家に帰ってしなければならないこともあるし…







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