一護
□間接キスの季節
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しばらくして、一護はあまり使われていない水呑場にやってきた。
校舎裏にあるため、あまり使われておらず人気もない。
「涼しいな…」
ザァアア…
風が木々を揺らし、音を立てる。
日頃使うには不便な場所だが、風通しもよく、休むには最適な場所だった。
『あれ、一護じゃん。』
蛇口を捻り、水を出すと、突然後ろから少し高めの声が聞こえた。
「Σ遥!?」
一護が振り返るとそこには同じクラスの遥が立っていた。
首にタオルをかけ、片手にはビニール袋を下げている。
一護が驚いて目を丸くしていると、遥は一護の元へと駆け寄ってきた。
「なんでんなとこに…」
『いや、ここはアタシの休憩場だからさ♪』
水道の蛇口を開いたまま、自分を見る一護に、遥はにこりと笑顔を向けると、ストンッと建物と地面の段差に腰を下ろした。
「…そうなのか。」
それから、一護はハッと気づいたように蛇口を閉めると、遥の隣に腰を下ろした。