BLEACHその他

□夕暮れの坂道を二人
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四番隊救護詰め所

やっと一人で起き上がれるようになった体を起こす。


部屋の外からトントントンと聞こえてきた足音はよく聞き慣れたものだった。




討伐任務で重体を負うも一命を取り留めた私。

あれからもうニヶ月がたっていた。

毎日とはいかないが頻繁にやってくる貴方が私は恋しい。






「流無、体の調子はどうだ?」

『大分楽よ。阿近さん。』





ベッドに座っている私に、わざわざ目線を合わせて尋ねる貴方に、私はにっこりと笑った。

愛しい貴方は、怖い顔の割にとても優しい。


ふと彼の手に目をやる。

そこには、コスモスが不器用に数本いけられた花瓶があった。





『あらあら曲がっちゃって。』




なんだか阿近さんに花瓶と花なんて似合わなくて…


面白くてクスクス笑わらってしまった。





「悪かったな、花なんかいけたことねぇんだよ。」





すると、彼は少し唇を曲げて目線を外す。


怒らせちゃったかしら?

嬉しかったのに…

ダメね、私


今度は少し悲しくなって、下を向く。

すると、下を向いた私の頭にポンッと大きな貴方の手が乗った。





「別に怒ってねぇよ。流無に…まだ、外のコスモス畑は見せてやれねぇからもってきたんだ…。」





顔を上げると、目の前には少し濃いめのピンク色が広がった。

貴方からの綺麗なプレゼント。





『ありがとう。』





花瓶から一輪抜かれた花を受け取り、私は貴方を見上げた。





「退院したら、見に行くぞ。」
『はい♪』








約束は

早く元気になるように

今度は夕暮れの坂道をふたり

手をつないで歩きましょう




お題:確かに恋だった様より

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