修兵
□全くもって気に入らない
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「1番、檜佐木修兵と霧島梓。」
先生の声が聞こえると、梓はスッと立ち上がり木刀を握る。
前にでると、よく見慣れた顔がこちらをみて笑って立っていた。
「よぅ、梓♪」
『またか…。』
笑いっている修兵に対し、梓は視線を落としてため息をつく。
これで何度目だろうかと、梓は肩を落とした。
真央霊術院の稽古場では、武道の授業が行われていた。
「なんでそんな嫌そうな顔すんだよ?」
『なんでって…檜佐木くんは強いから。』
六回生にもなるとそれぞれ、実力の近い物同士が当てられるこの授業。
修兵と梓があたるのはクラスが同じこともあってか、一回生時からも多く、数えきれなかった。
「檜佐木くん頑張ってー!!」
「「檜佐木くーん♪」」
「あぁ。」
ギャラリーから聞こえる声に、修兵が笑いながら手を振ると、キャーと言う黄色い悲鳴にも似た声が稽古場に大音量で響き渡る。
『余裕だね…。』
「そうか?」
修兵の言葉に梓は少し目つきを変えた。
この人はいつもだ…
「私語は慎め。授業だ。」
『「はい。」』
教員の言葉に返事をすると二人は構えを取る。
「はじめ!!」
ガツンッ!!
木刀の触れ合う音が稽古場に響いた。