修兵
□終わるまでの一週間
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『ほら。』
ジージーとけたたましく蝉が鳴く、まだ昼間の暑さの残る放課後。
ピタッと頬に当たった冷たい感覚に修兵は目を開けた。
そこには、缶ジュースを差し出す、梓の姿があった。
『いつもお疲れ様。部長。』
彼女はニコリと笑い缶ジュースを修兵に渡す。
「サンキュー…梓。」
修兵はそれを受け取るとプシュッと缶を開け、中の冷たい液体を一気に飲み干した。
「…あと一週間…」
空になった空き缶をトッと机に置き、修兵がボソリと呟いた。
『なんか言った?』
「いや…。」
梓はどうやら聞き取れなかったようで、キョトッと首を傾げる。
修兵は出かけた言葉を飲み込み、何でもないとごまかすようにヒラヒラと手を振った。
キーンコーンカーンコーン
そうこうしていると完全下校のチャイムが鳴った。
修兵が時計に目をやると針は7時を指していた。
『ほら〜、先生に閉められるから早く準備して。』
梓はチャイムが鳴ったと同時にパンパンと手をたたき修兵をせかす。
「へーへ。」
修兵はその言葉に、帰る支度を始めた。
梓は修兵の片付け具合を見ながら、窓を閉めたり鍵のチェックを行う。