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□昇る煙り
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昇りゆく煙を目で追いながら考える。
まだ1度しか吸ってない煙草の灰が、
足下に落ちた。
いつぶりだろう。
禁煙をして2年。
引き出しの奥に、
ひしゃげた箱を見つけた。
友人と競って約束した禁煙。
結局奴の方は挫折したけれど、
元々執着心が薄いせいか簡単に止められた。
だからだろうか。
付き合って3年目、
そろそろ結婚と思っていた。
ついさっきまでは。
「結婚には向かない。」
―――ショックだった
…はずだった。
冷静な自分がここにいる。
あぁそうか。
納得する。
彼女を愛していたはずだ。
いや、
そう思いこんでいたのかもしれない。
自分の気持ちは暗すぎて、
手探りしても見つからなくて。
諦めて、
久しぶりに煙草を吸った。
彼女が嫌いと言った煙草。