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□鳥籠
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「おはよう。」


初めてかけられた言葉。

白い光の中に見える2つの影。

「おはよう、“k572”」


「今日から君もこの学校の一員だよ。」


笑顔はきらきら輝いて、
嬉しいという気持ちを、
初めて感じたことを覚えている。





――――なんでこうなってしまったんだろう。




飛び交う怒号、

鮮血、

優しかった先生。



与えられた名前は偽りで、

あたりまえの人生は、

狂ったものだった。



「何やってるの!?“アイリ”!」


その名で呼ばないで欲しい。

もう、
すべて忘れたいんだ。



カヨ。


もしまた会えたら、

真っ先に謝るから。



「早く!鎮圧剤はまだなの?!」



駆けつける職員の手には拳銃。

ただ、
楽になりたかった。


カヨのなれ果てを抱きしめて、目を閉じる。


ばいばい、
何にも知らない私。

ばいばい、
偽りの先生。

もう会うことはないでしょう。
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