長編
□第十八訓 家に帰るまでがおつかい
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その日は、沖田さんに稽古に誘われた。
珍しいことではない。
暇さえあれば
「相手してやるから来なせィ」
と言ってくる。
だからいつもの通りイイですよ、と道場に向かった。
***
「痛ァ!!…沖田さん、ちょっと激しすぎやしませんか?」
あたしは2、3メートル沖田さんにふっとばされ、尻もちをついた。
「黙れィ。このくらいの猛攻、慣れたほうがいいだろィ?敵さんは待っちゃあくれねーぜ」
立て、と合図する沖田さん。
それにしても今日は沖田さんの機嫌がよろしくないなあ…。
いつもなら『多少』のことは実力不足なあたしにも気をつかってくれてている。多少は、だが。
教え方も決して下手ではない。
でも今日はなんというか…やっつけ仕事かい!みたいな…
あたしはすんません、とだけ言い、竹刀を握った。