長編

□第十九訓 気持ちに距離なんて関係ない
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激しい破裂音がした。









でも、葉月は撃たれなかった。







外れたの…?









いや、違う。
この距離で外すわけなんかない。








いや、ライフルなんかじゃない…!!




そして静かな足音が聞こえた。
















「葉月〜。バズーカで戦う侍はいけませんかィ?」














振り向かなくても分かっていた。









あのひとしかいないでしょ。









…来るのが遅いですよ。沖田さん…。








「御用改めである!!」








沢山の隊士が駆け込んできた。






土方さんもいる。

怒鳴りながら指示を出す横顔は、めちゃめちゃ頼もしい。



近藤さん。山崎さん。



皆いる。





あたしはもう何も怖くなかった。





志士はあたしの腕を掴み、のど元にライフルをつきつけた。




カツ…カツ…






足音を立てて沖田さんはこちらに近づく。





今まで見たこともないような眼をしていた。


鋭くて、視線だけで殺せそうな、眼



立ち止まり、静かに言った。






「……ここまでやっといたっつーこたァ、死ぬ覚悟があるってことだなァ?」




「来るんじゃねェ!この女を撃…」






ザシュッ!!!











「…たせねェぜ」












志士が言い終わらないうちに沖田さんは剣を抜いた。


一瞬にして男の体は崩れ落ちた。





「葉月は俺の玩具でィ。…それに触れたきゃそれ相応の覚悟をしてきなァ」










血しぶきが飛び、他の志士達も地面に倒れこんだ。






その死体を、沖田さんはしばらく睨みつけていた。
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