長編
□第二十三訓 隣の芝生は青く見える
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「あさですよお!起きてくださーい!」
朝の屯所に、聞き慣れない甲高い声が響く。
んだようるせーな…
あ、ああ。…例の新入りか。
…あたしはどうも江川さんがいけすかない。
…まあいきなりでてきて総悟にべたつく奴なんて、好きになれって言うほうが難しい。
「ほらほら葉月も起きて起きて!今から総悟も起こさなきゃいけないんだから!」
起こさんでいいわァ!
…ん?
ちょっと待て、今、なんて…
「総悟」っつった!?
ふ…ふざけんなァ!
あたしがそう呼べるようになるのに何話くらいかかったと思ってんだ!?
朝から機嫌は最悪。
あたしは顔を洗いに洗面所に向かった。