長編

□第二十九訓 子供は狭い所に入りたがる
1ページ/9ページ

「一番隊!俺に続け!」


あれからしばらくたった。








仲間の死なんて、何度か見てきた。

でも、今回は流石に応えた。



目をつぶれば、今でもあの人の人懐っこい笑みが脳裏に浮かぶ。


何で…あの時前に出た?


何で、自分は無力だった?















考えても、仕方ないよね。


あたしは思いを振り切って、立ち上がった。




次の戦いが、待ってるから。



***




総悟が出撃の合図をした。



あたしも動こうとしたが、総悟に腕を掴まれた。


「?」

「お前は残れィ」



総悟は珍しい、真面目な顔でこう言った。


「行くな」
「何で?指揮とるひとがいなくちゃ難…」

「いいから」






総悟は黙って葉月を抱きしめた。





「……こんなとこで…かよ///」

「うるせーや。俺がこうしたいんだから仕方ねえだろーが」





しばらく抱きしめた後にこう言った。




「んじゃあ…指示を頼みまさァ、『副隊長』。」



「…了解…っ」





これはコイツなりの、「がんばれ」だったんだろう。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ