長編
□第三十一訓 女は雨に濡れたい時もある
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ようし、行くか!
たまには女らしくバレンタインなんかもいいかもね!
そんなことを思いながら屯所に帰ってきた。
「総悟ー…あれ?総悟どころか土方さんも近藤さんも…ザキもいないじゃん」
「俺はいますよ!?」
「あ、いた。」
あたしはザキに尋ねた。
「ねえ、どうしてみんな出掛けてんの?」
ザキはいっしゅんはっとした表情を浮かべた。
「え、えーと…話せば長くなるんですがね、今日は沖田隊長の姉…」
ガララっ
あ、帰ってきたじゃん!
「あ、いいやザキ、帰ってきたみたいだから!」
長くなりそうなザキの話を聞いている時間は惜しい。
あたしは聞かず、その場を去ることにした。
「へ!?あっ…ちょっと待ってくださいよ葉月さん!今日は…!」
――――沖田隊長の姉上の命日なんですよ