長編
□第三十一訓 女は雨に濡れたい時もある
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「おかえりー!出かけてたんだね?」
「…ん?ああ、そうでィ。」
沖田はなんとなく晴れない表情をしていたが、葉月は特に気にしなかった。
「あのさ、ちょっと目ェつぶってて?」
「ん?何でィ、くだらねえことなら俺ァ今忙しいんで後にしてくれねーか?」
…ムッ。
何で?なんか機嫌悪い…??
葉月はあるものに気がついた。
「…!!」
これ、新商品の激辛せんべい!
辛党のあたしには見逃しがたい商品だ。もちろんあたしも買った。
「え〜何何?これ、買ったの?」
自分のせんべいをボリボリと食べ始めた。
…でも総悟はなんか上の空で…。
あたしは構って欲しくなり、わざと大きな音を立ててせんべいを食べた。
「ああ〜やっぱうまいわ、激辛せんべい。」
「……。」
何、何なのこいつ。
なぜ上の空??
「一緒にたべよーよ。…ね?」
「…めろ」
「あ?」
「…やめろィ」
沖田は葉月のほうを見もせずに言った。
はあ?…何がそんなにお気に召さないわけ?
…あたしまでイライラしてきたかも。
で、冗談交じりにこんなことを言った。
「何?アンタ激辛せんべいになんか思い入れでもあるの?…せんべいが原因で失恋…とか?^^」
…これがいけなかった。