長編
□第三十五訓 なるようになる
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無我夢中で走った。
逃げないと、あたしも高杉さんに殺される!
お兄ちゃんは、高杉さんに斬られた…!
『最も信頼できるのは、あいつなんだ。俺にとっちゃあ最高の上司であり親友だ』
そう言っていたお兄ちゃんが、斬られた……!!!!!!!
足もとがおぼつかなくなり、ふらりと葉月は地面に倒れた。
偶然、そこを通りかかったのは――――。
***
「それが、お前が幕府の犬ンとこに行くまでの経緯だ。」
思い出した、すべての記憶。
高杉は、お兄ちゃんを斬った。
なぜ?
…あたしがいたから。
高杉はあたしと出会わなければ。
でもお兄ちゃんが死ななければ、総悟や真選組の皆とは会えなかった…。
どうすればよかったの?
今、どうしたらいいの…?
わからない
わからない
わからない
…わからないよ。
記憶なんて、戻らなければよかった?
でも、戻らなければ、一生お兄ちゃんのことを忘れたままになってた。
何が正しいの…?
高杉は刀で葉月の縄を切った。
ほぼ同時に、神威が来た。
「意外とすぐだったよ」