長編

□第三十六訓 傷と絆
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静寂―――。


土方はタバコを床に吐き捨て、靴で踏みつけた。





「真選組の幹部2人を誘拐した輩…全員まとめてしょっぴいてやらァァ!!!かかれェェェェェェ!!」



土方の怒声で隊士が一気に攻めこんだ。



隊士、浪士、天人入り乱れての乱戦。



いつのまにか、鬼兵隊の幹部と春雨の幹部は姿を消していた。あとは部下たちに任せる…そういうことだろうか。




土方さんが十数人を相手どっている。


近藤さんも…ザキも原田さんも神山も…




みんな、みんないる。


江戸…いや、宇宙最強の奴らが来てくれたんだ、もう大丈夫…。



あたしは総悟に囁いた。


「総悟、今のうちに一旦引こうっ」


あたしは傷だらけの総悟を安全な場所に移そうと彼の腕を肩に掛けた。





「いたぞ!」

ちぇっ…




あたしは剣を抜いた。





…あたしにはどうしてもね、この光景が、霧島と最後に戦った時と重なって見えたんだ。








―――もう、誰も死なせない。

…今でも極力人を斬りたくない。




でも



それが、あたしの甘さなら。



それが、逆に失うことになるから。





…総悟を、守れないのなら――!!



葉月は周りの敵に猛攻撃をかけた。


もう迷わない。


葉月は真剣な目をしていた。



真選組で得た経験と絆。




初仕事の時

沖田相手に道場で稽古した時。

一人で浪士と戦った時。

大切な後輩と戦った時。




…葉月は確実に成長していた。



初めて屯所にやってきた時の、あの不安そうで頼りない顔の少女はもういない。





彼女はもう、立派な女剣士だ―――
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